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ベトナムの歴史

by Van Nguyen

はじめに

ベトナムは、南北に約1,650kmと長い国です。

そして、北は中国、西にラオス、南西にカンボジアと国境を接する国です。

この地政学的環境が、ベトナムの歴史に大きく関係していると言われています。

今回はベトナムの長い、そして苦難の歴史をひもといていきましょう。

伝説上の国家(ベトナムの起源)

ベトナムの起源は、紀元前2879年から紀元後258年まで続いた「伝説上の国家」に遡ります。

当時、文朗国(ヴァンラン)と呼ばれた統治国が、歴代のフン王により全土を支配していたと言われていますが、正確な史実上の資料に乏しく、いわば「伝説上の国家」とされています。

日本で言えば、神武天皇を中心とした神話国家と似た感覚に近いかも知れません。

「フン王は龍と仙女から生まれた神の子」という伝説から、ベトナムの人は龍に対する愛着が強く、またベトナムの地形が昇り龍に似ていることもあり、最近のASEAN地域での目覚しい経済発展を「ASEANの昇り龍」と称されるのも、関連があるかも知れません。

中国支配下時代

歴史上の検証が可能となった以後、史実をみていくと、ベトナムは、カオス的な多民族国家でありながら、1000年にもわたる長い期間、超大国・中国を宗主国として、その支配下に置かれていました。 

各時代のベトナムの王朝は、こうした中国の影響下に置かれながらも、中国に対する貢物などでへりくだりつつ、何とか自治政府を運営していました。

そして、中国文化と独自の文化を融合させ、発展を続けました。

「阮朝」によるベトナム統一

ところが、1802年になり、ベトナムは大きな転換期を迎えます。

それが「阮朝」(グエンちょう)の誕生ということになります。

この王朝が、全土バラバラだったベトナムを統一する王朝として台頭し、現在の統一ベトナムの原型となりました。

阮朝は全土の中央集権化を進め、一方、中国の科挙制度(上級公務員試験)を実施しました。

つまり、阮朝の時代に現在のベトナムが育まれたといってもよいでしょう。

フランス植民地時代

ところで、19世紀に入ると、世界はナポレオン戦争や産業革命を契機として、ヨーロッパが支配するようになります。

市場を求めて、西洋人はご他聞に漏れず、ベトナムにも進出してきました。

その結果、ベトナムを植民地として支配したのがフランスです。

1887年~1945年にかけて、ベトナムはフランス領インドシナ時代となります。

当時のベトナムは、上述した阮朝が国家を築いていましたが、中国に続いてやフランスの植民地支配の影響で、混沌とした政治体制となっていました。

ちなみに、フランスに統治されていたこの時代に、現在のカフェ文化や、バインミー(フランスパンに多彩な食材を詰めた、有名なベトナムのファストフードです)など、フランス料理も浸透しました。

また、ベトナムの民族衣装として有名なアオザイも、フランスの自由奇抜なセンスに溢れる華やかなものです。

第二次大戦

フランス支配の時代に、突如として勃発したのが第二次世界大戦でした。

対戦序盤は、ドイツ・イタリア・日本を中心とするいわゆる「枢軸国」が、アメリカ・イギリス・フランスなどを軸とする「連合国」を凌駕する勢いでした。

このため、フランスが一旦撤退し、日本軍がその間隙をついてベトナムに進駐(「仏印進駐」と呼ばれます)します。

当時の日本は、「大東亜共栄圏」の美名のもと、欧米列強からの植民地解放を大義名分に、ベトナムに進駐しましたが、多くのベトナム国民は当時、フランスから解放されたらまたすぐに日本進駐か、となり、振り回されました。

戦後、現在にいたるまで、ベトナムは多くのASEAN諸国同様、親日国家となっていますが、当時を知る年配の方には「嫌日家」も多いようです。

そして結局、ベトナムの日本進駐は、1945年の敗戦によって終結しました。

独立とインドシナ戦争での南北分断

現在でも「国民の父」「ホーチミンおじさん」として、全国民に絶大な信頼を得ているのが、革命家・ホーチミン氏です。

各地にホーチミン氏の銅像が立てられ、世界中からの観光客が集まります。

終戦後、そのホーチミン氏が革命軍を結成し、北ベトナム国を設立、初代首相に就任しました。

ところが、これを許すまじと、かつての支配国フランスが再びベトナムを侵略しようと図り、インドシナ戦争が勃発しました。

この戦争は1946年~1954年まで続き、結果としてベトナム側が勝利しました。

しかしその後、ベトナムは南北に分断されることとなったのです。

ベトナム戦争から現代まで

そして、現代人にとっても記憶に新しいのが、あの有名な「ドロ沼戦争」ベトナム戦争です。

南北の政治的状況と、それを支援する超大国の思惑を背景に、世界を巻き込んだ戦争が繰り広げられた結果、アメリカが支援する南ベトナムの首都サイゴン(現在のホーチミン)が陥落し、戦争は終結しました。

1973年のパリ平和協定により、分断されたベトナムは社会主義国家として統一され、現在に至っています。

まとめ

伝説上の国家からはじまり、中国やフランスの長い支配、そして日本の進駐、更には独立運動やインドシナ戦争、ベトナム戦争と、激動の歴史を辿ったベトナムです。

現在では、1990年のドイモイ政策(政経分離政策)により、社会主義国家でありながら見事な経済発展を遂げ、活気溢れる国としてますます進展しています。

様々な苦難を経験し、成長してきたベトナム。

今後も、過去の歴史に立脚しつつ、たくましく成長していくことでしょう。

著者プロフィール

ペンネーム:トビウオ
マレーシア(KL)在住 海外経験はこの他にヤンゴン(2回)、ホーチミン、海外40都市への出張経験があります。
早稲田大学政治経済学部卒業 大手通信会社~大手調査会社のヘッド~ITベンダー等を経験しています。

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