オフショア開発

EdTechサービスは?EdTechの市場規模の見通し

未来を予測することが難しい現代を生きるためには、自分自身が未来を創り出す当事者になる必要があります。そのために、柔軟な発想力や問題解決能力が重要なのです。

そこで注目されているのがEdTech。テクノロジーを活用して教育の質を向上させることが目的であり、文部科学省もEdTechを活用した「未来の教室」を推奨しています。

この記事ではそんなEdTechや「未来の教室」に関して、どんなサービスなのか、これからどのように市場にアプローチしていくのかについて解説していきます。

  • ICTを活用した教育事業に興味がある方
  • 現状の教育事業に不安がある方
  • EdTechサービスに興味がある方

これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばEdTechサービスや「未来の教室」の概要がわかるのはもちろん、市場にどのようなインパクトを与えていくのかまで丸わかりですよ。

EdTechサービスとは?

EdTech(教育技術)サービスは、テクノロジーを活用して教育の質を向上させることを目的としたサービスの総称です。

具体的には、オンライン学習プラットフォーム、学習管理システム(LMS)、教育用アプリ、バーチャルリアリティ(VR)や拡張現実(AR)を利用した教育ツールなどが含まれます。

これらのツールは、教育の効率化、アクセスの向上、個別化された学習体験の提供を可能にします。

文部科学省のEdTechサービス「未来の教室」

文部科学省はEdTechサービスとして「未来の教室」というものを推進しています。

未来の教室では「学びの STEAM 化」、「学びの自立化・個別最適化」、「新しい学習基盤づくり」を3本の柱として、教育の質の向上と、未来に向けた新しい教育の形の創造を目的としています。

学びの STEAM 化

一人ひとりが違うワクワクを核に、「知る」と「創る」が循環する、分離融合の学びにということをテーマに、従来の教科ごとの学びを超えて、複数の分野を横断することで、生徒の創造力や問題解決能力を育成することを目指しています。

STEAMとは、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術(Arts)、数学(Mathematics)の頭文字を取ったもので、これらの分野を統合的に学ぶことを目的としています。

具体的な政策としてはインターネット上に「STEAMライブラリー」、地域に「STEAM学習センター」を構築。知識はEdTechで学んで効率的に獲得し、探究・プロジェクト型学習(PBL)に没頭する時間を捻出していきます。

学びの自立化・個別最適化

一人ひとり違う認知特性や学習到達度等をもとに、学び方を選べる学びにということをテーマに、知識の習得は、一律・一斉・一方向授業から「EdTechによる自学自習と学び合い」へと重心を移行していきます。

実証事業では算数・数学・英語に関してEdTechを用いた自習学習と学びあいを主体とする授業へ転換を行いました。その結果、テストの成績や意欲の向上、従来比での授業時間の圧縮などの効果が出たそうです。

さらに幼児期から「個別学習計画」を策定し、蓄積した「学習ログ」をもとに修正し続けるサイクルを構築。到達度主義の導入、個別学習計画の認定、ネット・リアル融合の学び方の導入で、多様な学び方を目指します。

新しい学習基盤づくり

学習者中心、デジタル・ファースト、社会とシームレスな学校を目指し、ICT環境の整備・学校BPR(業務構造の抜本的改革)の試行・普及、部活動に縛られない放課後の充実、教師自身がチェンジ・メイカーとして、学校外の人材と学び、協働し続ける環境を整備していきます。

現状政府の学校 ICT 環境の整備目標は、「2022 年までに3クラス に1クラス分」のパソコン配備に留まり、「1人1台パソコン」の実現に向けた目標時期もその手法も未定となっています。

その現状を問題視し、一人ひとりにパソコンを支給し、個々の学習到達度に応じた学習に集中したり、世界中の人とオンラインで自在にコミュニケーションできる環境を目指します。

EdTech市場の規模と見通し

EdTech市場は、近年急速に拡大しています。新型コロナウイルスのパンデミックによる遠隔教育の需要増加がその一因ですが、長期的には技術の進化、教育へのアクセスの向上、個別化学習の需要などの要因も成長を支えています。

特に技術の進化については、AI、ビッグデータ、クラウドコンピューティングなどの技術の進展により、より効果的な教育ツールが開発されています。

市場予測

2021年の世界のEdTech市場規模は約2540億ドルと推定され、2022年から2027年にかけて年平均成長率(CAGR)16.3%で成長すると予測されています。

この成長は主にアジア太平洋地域、特に中国やインドにおける教育投資の増加に支えられています。

また、北米やヨーロッパにおいても、教育機関や企業によるEdTechの導入が進んでいます。

これからの「未来の教室」は?

これからの「未来の教室」は、教育改革の短期、中期、長期の三つの段階で進化していくことが期待されています。

短期的な改革として各地方自治体、学校法人、株式会社などの設置主体や学校のマネジメント層が中心となり、教育改革の理想形を描き、現行法令の合理的な解釈を用いて現場の教師、保護者、学校外の人材、そして何より子どもたちの参画を得ながら改革を進める必要があります。

次に中期的な改革として、政府の積極的な介入が重要です。具体的には、STEAM学習コンテンツの開発を加速させ、教育現場全体にその授業編成のイメージを広く共有することが求められます。

また、EdTechの導入に伴う法令・制度上の制約があれば、速やかに政策を制定し、学校現場の創意工夫を促進する環境を整える必要があります。

そして最後に、時間を要する長期的な取り組みとして、学習ログの蓄積やデータのビッグデータ化、異なるEdTech間のデータの相互運用性を担保する環境整備などが重要です。

学習ログが十分に蓄積され、そのデータの分析結果が教育イノベーションに役立つようになるには、10年単位の時間が必要です。

しかし、このデータがビッグデータ化され、オープンデータ化されることで、より幅広い企業が教育分野に参入し、新たな教育イノベーションが促進される可能性があります。

まとめ

いかがでしたか。本日はEdTechサービスとは何なのかや、文部科学省が推進する「未来の教室」に関して解説していきました。

EdTechでIT技術を活用することで、教育のあり方は大きく変わるでしょう。将来を予測することが困難な時代では、EdTechによるクリエイティブな人材育成が重要なものとなるに違いありません。

makka

Recent Posts

アジャイル開発におけるシステム開発マネジメント|手法・役割・成功のポイントを解説

近年、システム開発の現場では「アジャイル開発」が主流の手法として定着してきています。 従来のウォーターフォールモデルでは、要件定義から設計、実装、テスト、運用までが一方向に進むため、途中での変更に柔軟に対応しにくいという課題がありました。 一方で、アジャイル開発は短いサイクルで機能をリリースしながら、顧客や利用者のフィードバックを反映して改善を続ける手法です。 しかし、アジャイル開発は単なる開発手法の変更に留まらず、マネジメントの考え方やチーム運営のあり方にも大きな影響を及ぼします。 この記事では、アジャイル開発におけるシステム開発マネジメントの基本概念、手法、主要な役割、そして成功のためのポイントを体系的に解説します。 アジャイル開発を検討している方 アジャイル開発のシステム開発マネジメント方法を模索している方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばアジャイル開発におけるシステム開発のマネジメントについて、成功のためのポイントが丸わかりですよ。 アジャイル開発とは アジャイル開発は、ソフトウェア開発における「変化への対応」と「顧客価値の最大化」を重視した開発手法です。 その根本思想は、2001年に発表された「アジャイルソフトウェア開発宣言(Agile Manifesto)」に集約されています。主な特徴は以下の通りです。 反復的・漸進的開発:小規模な単位で機能を開発し、短期間でリリースして改善。 顧客との継続的な協調:要求仕様の変化を受け入れ、フィードバックを重視。…

1 day ago

システム開発におけるテスト種類|役割と特徴を徹底に解説

システム開発においてテストは、品質保証の要であり、欠かすことのできない工程です。 テストの目的は、開発したシステムが要件どおりに動作するかを確認し、リリース後に重大な不具合が発生することを防ぐことにあります。 しかし一口に「テスト」といっても、その種類は多岐にわたり、役割や実施方法、利用するテストデータにも注意が必要です。 この記事では、システム開発における代表的なテストの種類とその特徴を解説するとともに、テストデータやテスト環境を整備する際のポイントを詳しく紹介します。 システム開発を行いたい方 システム開発のテストの種類を知りたい方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばシステム開発のテストについてそれぞれの役割を明確にすることができます。 テストの重要性と基本的な考え方 システム開発において「テスト」は単なるバグ探しの作業ではなく、システム全体の品質を保証するための確認プロセスです。 開発の各段階で定義された要件や設計が正しく実装されているかを確かめると同時に、利用者が想定通りに操作できるか、さらにセキュリティやパフォーマンスに問題がないかを多面的に検証することが求められます。 テストの重要性は近年ますます高まっており、その背景には以下の観点があります。 品質保証:不具合を早期に発見・修正することで開発全体のコストを抑制し、システムの信頼性を向上させることができます。 セキュリティ確保:実データや顧客情報の漏洩を防ぐための堅牢性確認が不可欠です。 ユーザー体験の向上:快適で直感的に利用できるシステムを提供することが利用者満足度やサービス継続性につながります。…

4 days ago

システム開発のライフサイクルとは?主要な開発フェーズと代表なモデルを解説

ビジネスや社会のあらゆる場面でシステムが欠かせない現代において、システム開発を効率的かつ確実に進めるための枠組みとして「システム開発ライフサイクル(SDLC:System Development Life Cycle)」が存在します。 SDLCは、システムを企画・開発・運用・保守するまでの一連の流れを定義したもので、開発プロジェクトを成功させるための道しるべといえます。 この記事では、システム開発ライフサイクルの基本的な考え方と、主要な開発フェーズ、さらに代表的な開発モデルについて解説します。 システム開発を発注・管理する立場の方 IT人材が不足している方 システム開発ライフサイクルの具体的内容が知りたい方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばシステム開発を効率的に進める方法が丸わかりですよ。 (more…)

2 weeks ago

システム保守の費用相場は?費用を抑えるポイントも徹底解説

システム開発が完了した後、安定して稼働させるためには「システム保守」が欠かせません。 しかし実際に見積もりを取ると、費用が高いと感じる企業も多いのではないでしょうか。 この記事では、システム保守の費用相場を解説するとともに、コストを抑えるための具体的な方法を徹底的に紹介します。 これから保守契約を検討する方 すでに保守契約しているが見直したい方 システム保守の費用について知りたい方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばシステム保守にいくらかかるのかや、費用を抑えるためのポイントも丸わかりですよ。 (more…)

2 weeks ago

AI総合ソリューションで業務を革新。DEHAが届ける確かな信頼と価値

2017年の起業から今まで、DEHA SOLUTIONSが歩んできた9年間は、お客様と社員の皆様からのご支援とご協力なくしては語ることができません。心より感謝申し上げます。  私たちはこの間、ベトナムを開発拠点とするシステム開発企業として、日本国内のIT市場向け様々な課題に真摯に向き合ってまいりました。2019年に発表された経済産業省によるIT人材需給に関する調査によると、2030年の日本国内におけるIT人材は最大で約79万人が不足すると予測されています。この深刻な状況の中、多くのSIer企業様や中小・大企業様の開発パートナーとしては、高品質で開発及びソリューションを安定的に提供することで、日本のIT業界の成長を支える一翼を担っています。  >>関連記事:日本経済産業省によると2030年には最大で約79万人のIT人材が不足  近年、ビジネス環境は急速に変化し、DXの波が隅々にまで浸透することに加え、AI技術も全産業を席巻しています。DEHAマガジンでも度々記事を取り上げてきたように、現在AIは単なるトレンドではなく、未来の社会を形作る基盤となりつつあります。  そんな大きな時代の変化を捉え、私たちDEHA SOLUTIONSはこれまでの9年間で培ってきた豊富なナウハウで、AI分野に注力を決意しました。単なる技術ベンダに留まらずに、お客様にとって最も信頼性があるAI総合ソリューション開発パートナーとしては、共に課題解決及びビジネス発展にしていくことを目指してまいります。  (more…)

3 weeks ago

開発リソース不足を解決する5つ方法を徹底比較

開発の現場では「人が足りない」「スキルが合わない」「今すぐ増強したい」が日常茶飯事です。 そこでこの記事では、①オフショア開発 ②ニアショア開発 ③フリーランス・業務委託 ④SES ⑤社内のリソース強化(社員育成・ノーコード/ローコード・AI活用)の5つ手段を、スピード/コスト/品質確保/管理負荷/機密性/拡張性で徹底比較し、選び方の指針まで一気通貫で整理します。 開発を効率化させたい方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めば開発リソースを確保するためのそれぞれの手段について、特徴がわかりますよ。 (more…)

3 weeks ago