コラム

日本はペーパーレスが遅れてる?? ペーパーレスで働き方改革を!

2019年から日本ではキャッシュレスが大きな話題となり、覚えきれないほどたくさんの「Pay」が普及し、支払いが便利になったり、ポイント還元などでお得になったりしています。

そんなキャッシュレスの影に隠れていますが、「ペーパーレス」も企業にとっては重要な話題です。しかし日本では業務や環境の改善につながる「ペーパーレス」を推進したい企業が多いのになぜなかなか浸透しないのでしょうか。

「ペーパーレス」の概要、紙の問題点と「ペーパーレス」のメリットをご紹介します。

「紙」と「ペーパレス」を比べてみた

「ペーパーレス=紙がない」という翻訳の通り、業務から紙をなくし、コストダウンと効率化を図っていこう取り組みのことです。

推進するにあたっては当然ですが新しいルールを作り、業務フローを改善する必要があり、さらに導入のための費用や時間がかかります。しかしその手間ひまを考慮した上でも導入する価値があります。

具体的に「紙」と「ペーパーレス」を以下の表で比較してみました。


ペーパーレス
紙代・紙代(白紙、専用帳票など)・プリンター代(プリンタ、イン ク・トナー、保守、電気代)

・PDF作成ソフト購入代・プリンター代(ペーパーレスと言っても100%紙をゼロにする、というのは現実的ではありません。必要な場合もあるのでペーパーレスにしてもかかります)
郵送代・案内文・納品書・請求書・領収書など送る際の切手代・封筒代PDFをメールに添付すればかかりません
保管・ファイリングの手間・保管場所の確保・場合によっては倉庫を利用(倉庫の賃借料・輸送費)・書類を探す手間・災害時に原本を消失してしまう・ファイルサーバーで管理すれば今までのサーバー管理費に含められる・クラウドサーバーを借りて保管・ファイル名のルールを統一すれば簡単に検索・災害時もデータがあればOK
経費精算・備品購入・出張費などの精算が面倒・必要な添付書類の確認、ハンコをおすルールが複雑・年末調整・社会保険など法的書類を手書きで提出・経費精算システムで簡単・スムーズに書類を提出・承認・年末調整・社会保険も専用システムを導入すれば紙が必須の領域以外はすべてデータで管理
契約・分厚い取引契約書に色々なハンコを押して取引先とやりとりをするのが手間・高セキュリティの電子契約システムで双方の手間を省略
カタログ・カタログの印刷・保管・新しいカタログができたら古いものは破棄しなくてはいけないのが費用・資源の無駄・スマホ・タブレットの普及で電子カタログを公開する企業が増加・Webページの内容を充実させることで閲覧者を増やせる
環境問題・紙資源を消費することは環境問題につながります・紙資源を削減することでエコ活動につながります

「ペーパーレス」推進の課題

・導入コストがかかる

様々な分野でペーパーレス化ができますが、上記のようなシステムを導入する場合は当然イニシャルコスト、ランニングコストがかかります。システム以外にもスキャナーやタブレットなどの機器も必要です。しかし導入コスト以上にかかるのが「紙のまま」の場合の人件費です。繁忙期になると紙を使った作業による残業代が増加します。短期で臨時職員を雇用する場合にも人件費がかかってしまいます。従業員の士気にも影響するので最終的にはシステム導入の方がメリットが大きいでしょう。

・「紙のままでいい」という考えを変えさせる

今まで「そういうものだから」と特に気にせず紙を中心としたフローやルールで日々業務にあたっている方や「ルールを変えるのが面倒」「新しいシステムを習得するのが手間」という方もいらっしゃると思います。確かに導入時の手間はありますが、軌道に乗れば必ず大きなメリットを感じられるはずです。

特に日本ではベテラン従業員にそういった傾向があるため、導入時に時間をかけて説得し、全社一丸となって取り組むのがベストです。

「ペーパーレス」を始めよう!

海外と比較すると電子書籍の普及が遅れている日本は紙に対して安心感や信頼感がある文化・国民性があることも、ペーパーレスが普及しない要因の1つであると考えられます。

紙でのやりとりを廃止する企業も少しずつ増えてきており、「ペーパーレス」は現在スロースピードで普及が進んでいたり政府が「電子帳簿保存法」や「電子申告・申請の義務化」を推奨したりと「ペーパーレス」に取り組むチャンスでもあります。

当然ですが「ペーパーレス」を軌道に乗せるのには手間も時間もコストもかかります。しかし軌道に乗せてしまえば、ランニングコストは削減でき、手作業の時間や手間がなくなり、最終的に業務を効率化することができます。

「働き方改革」で推奨されている「テレワーク」も「紙があるから出勤しないと・・・」といった悩みも解決し、遠隔地での業務も可能になります。

「ペーパーレス」は従業員にとっても経営者側にとってもメリットが大きい業務改善の分野です。まずその目の前の書類の印刷を一旦止めて、導入を考えてみると効率化の第一歩になると思います。

著者プロフィール
ペンネーム
中邨家大之助
プロフィール
日本国内のソフトウェアベンダーで販売促進・データ分析に従事しながらWebライターとして活動中。
いつか家族でベトナム旅行をするのが夢。
趣味はバンド活動・登山。

Van Nguyen

Recent Posts

TQA(技術品質保証)とは? 開発プロセスにおけるその役割と導入メリット

ソフトウェア開発において、品質の確保はプロジェクト成功の最重要テーマの一つです。 市場のニーズは高度化し、リリースサイクルは短期化し、開発チームの構成は複雑化しています。このような状況の中で注目されているのが TQA(Technical Quality Assurance:技術品質保証) です。 TQAは従来のQAと異なり、単にテスト工程で不具合を検出するだけではなく、開発工程全体の技術的な品質を可視化し改善するという役割を担います。 この記事では、TQAとは何か、その役割から導入メリットまで詳しく解説します。 TQAが気になる方 TQAの開発プロセスが気になる方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばTQAとは何かがわかるのはもちろん、導入メリットもわかりますよ。 TQA(技術品質保証)とは? TQAとは、技術的視点から開発プロセス全体の品質を管理・保証する取り組みを指します。従来のQA(Quality Assurance)が主に「プロセス管理」や「テスト計画・品質基準の策定」を担当していたのに対し、TQAはさらに踏み込んで、…

3 days ago

プロジェクト品質管理サービスとは?重要性とプロセスを解説

近年、システム開発・建設・製造・マーケティングなど、あらゆる分野でプロジェクトの複雑化が進んでいます。 市場の変化は速く、顧客の期待値も高まり続けるなか、企業に求められるのは「限られたコストと期間で、高い品質を確保した成果物を提供すること」です。 しかし実際には、品質のばらつき、手戻り、要件の理解不足、工程管理の不徹底などにより、多くのプロジェクトが計画どおりに進まず、結果的にコスト増や納期遅延という課題を抱えています。 こうした背景から注目されているのが プロジェクト品質管理サービス です。専門家による品質管理プロセスの整備・運用支援を通じて、プロジェクト全体の成功確率を高めるサービスとして、大企業から中小企業まで導入が広がっています。 この記事では、プロジェクト品質管理サービスの概要、必要性、導入メリット、サービス内容、実際の運用プロセスまでを詳しく解説します。 品質管理にお悩みの方 プロジェクト品質管理システムに興味がある方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事になっています。これを読めば、品質問題で悩んでいる組織やプロジェクトリーダーにとって、具体的な改善ヒントとなる内容がわかりますよ。 プロジェクト品質管理サービスとは? プロジェクト品質管理サービスとは、外部の専門チームやコンサルタントが、企業のプロジェクトにおける品質管理プロセスを整備し、品質向上やリスク低減を支援するサービスです。主に以下のような内容が提供されます。 品質基準・品質計画の策定 プロジェクト管理プロセスの構築・改善…

1 week ago

生成AIチャットボットは?従来のチャットボットの違い

近年、企業や教育機関、自治体を中心に「生成AIチャットボット」の導入が一気に広がっています。 ChatGPTをはじめとする大規模言語モデル(LLM)が急速に発展したことで、これまでのチャットボットでは実現できなかった高度な対話や柔軟な問題解決が可能になりました。 しかし、「生成AIチャットボット」と「従来型のチャットボット」は何が違うのか、具体的に説明できる人は意外と多くありません。 本記事では、両者の仕組みや特性、メリット・デメリット、そして導入時のポイントまで分かりやすく解説しています。 生成AIに興味がある方 チャットボットを導入したい方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めば生成AIチャットボットが、従来と比べてどう違うのかが丸わかりですよ。 チャットボットとは何か? チャットボットとは、ユーザーとの会話を自動で行うプログラムのことです。 ウェブサイトの問い合わせ窓口やアプリ内のサポート、コールセンターの一次対応など、さまざまな場所で活用されています。 従来のチャットボットは、多くの場合「ルールベース型」「FAQ型」「シナリオ型」と呼ばれる仕組みで動いていました。 これは、あらかじめ作成された回答やシナリオに沿って、決められたパターンの会話を実行する仕組みです。 一方、生成AIチャットボットは、文章を理解し、新たな文章を自動生成する能力を持つ「大規模言語モデル(LLM)」によって動作します。 これにより、従来型とはまったく異なる会話体験を提供できるようになりました。…

2 weeks ago

AI活用でコーディングが効率化し、開発のスピード3倍アップ

いま、ソフトウェア開発の現場で“静かな革命”が起きています。それは、AIがエンジニアの相棒としてコーディングを支援する時代の到来です。 「AIがコードを書くなんて、まだ先の話」と思われていたのはもう過去のこと。今ではAIが自然言語での指示を理解し、数秒でプログラムを提案・修正してくれるのが当たり前になりました。 その結果、開発スピードが従来の3倍に向上したという事例も続々と報告されています。 この記事では、AIがどのようにしてコーディングを効率化し、開発現場を変えているのかを具体的に解説します。 開発をしたい方 コーディングの効率を上げたい方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばコーディングにAIを活用する方法が丸わかりですよ。 コーディング現場の課題と限界 ソフトウェア開発の現場では、長年にわたって「納期の短縮」「品質の維持」「コスト削減」という三大課題がエンジニアを悩ませてきました。 近年では、ビジネス環境の変化がますます激しくなり、リリースサイクルの短期化が当たり前になっています。 特にWebサービスやモバイルアプリ開発の世界では、「スピードこそ競争力」と言われるほど、開発速度が事業の成否を左右します。 しかし、スピードを優先すれば品質が犠牲になり、品質を重視すれば納期が延びる――このジレンマに多くの開発チームが直面してきました。 加えて、エンジニアの人手不足は深刻であり、教育やナレッジ共有に割く時間も限られています。 限られたリソースでいかに生産性を高めるかが、開発現場における共通のテーマとなっています。…

2 weeks ago

要件定義フェーズをAI活用で解決する7つの問題と解決案

システム開発において最も重要であり、同時に最も難しい工程は何でしょうか。 多くのプロジェクトで共通して挙げられるのが 「要件定義」 です。 要求が曖昧なままプロジェクトが進むと、後工程での手戻りが一気に増え、QCD(品質・コスト・納期)は簡単に崩壊します。 実際に、プロジェクトが失敗する原因の6〜7割は、この初期工程である要件定義に起因すると言われています。それほど、要件定義は重要かつリスクの高いフェーズなのです。 しかし近年、AI技術の急速な進化により、従来の要件定義で「時間がかかる」「認識が揃わない」「情報が不足している」といった課題に対し、新たな解決策が生まれています。 この記事では、要件定義フェーズで頻発する7つの課題を取り上げ、それらをAIを活用してどのように改善できるのかを、具体例を交えて解説します。 要件定義フェーズでお悩みの方 AIを活用して開発効率を上げたい方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めば要件定義で起こりうる問題とそれを解決する方法がわかりますよ。 問題1:要求が曖昧で担当者ごとに認識がズレる 要件定義で最初に直面する課題が「要求の曖昧さ」です。 ユーザー自身が課題を把握していても、機能としてどのように落とし込むべきか正確に説明できないケースは非常に多いです。…

3 weeks ago

システム開発のQCDは?プロジェクト管理を最適化

システム開発の現場では、「納期が守れない」「コストが膨らむ」「品質にばらつきがある」といった課題が常に発生します。 こうした問題の根底にあるのが、QCD(Quality・Cost・Delivery)のバランスです。 QCDは製造業を中心に使われてきた概念ですが、現在ではシステム開発やITプロジェクトの世界でも不可欠な管理指標として定着しています。 この記事では、QCDの意味とそれぞれの要素がプロジェクトに与える影響、さらに現代的な最適化の方法までを詳しく解説します。 システム開発を行いたい方 QCDについて知りたい方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばシステム開発のQCDについて丸わかりですよ。 (more…)

1 month ago