オフショア開発

【オフショア開発活用】システム開発下流工程から上流工程にシフト

日本のオフショア開発では、下流工程を依頼することが一般的でしたが、近年上流工程へシフトする動きが拡大しています。

この記事ではシステム開発の上流工程をオフショア開発で行うメリットや気をつけるべきことなどについて解説していきます。

  • オフショア開発が気になる方
  • システム開発をより効率よく行いたい方
  • 社内のIT人材が不足している方

これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばなぜオフショア開発で上流工程にシフトしていくべきなのかが丸わかりですよ。

システム開発下流工程から上流工程にシフト

日本のシステム開発について、オフショア開発は従来、具体的なコードやプログラムの実装など下流工程が優先されていましたが、近年欧米諸国のようにオフショア開発国に上流工程まで任せる動きが拡大しています。

そもそもなぜ日本企業が海外企業と同じような導入形態にならなかったのかというと、顧客の要件定義が固まらないという課題があったためです。

しかし近年では、作業要領も含め日本での開発と同様に要件定義を明確に行うようにしていくことで、その課題を解決していくことができるようになったのです。

システム開発における上流工程の主な流れ

システム開発における上流工程の主な流れは以下の通りです。それぞれ具体的に解説します。

  • システム企画
  • 要件定義
  • 基本設計
  • 詳細設計

システム企画

システム企画の段階ではプロジェクトの目的やニーズを明確にし、利害関係者から要求事項を収集します。

ヒアリングやユーザーインタビューを通じて、システムに求められる機能や要件を洗い出します。

要件定義

収集した要求事項を整理し、優先順位をつけて要件を定義します。

システムのスコープや機能、非機能要件(パフォーマンス、セキュリティなど)を明確にします。

基本設計

要件定義に基づいて、システムのアーキテクチャや設計を行います。コンポーネントの構造や相互関係、データベースの設計などが含まれます。

またこの際に設計が要求事項を満たしているか検証し、適切な設計であることを確認します。

時には要件との整合性を確認するためのレビューやテストも行います。

詳細設計

アーキテクチャを基に、システムの各コンポーネントやモジュールの詳細な設計を行います。

データ構造やアルゴリズム、インタフェース仕様などを具体化します。

オフショア開発で上流工程にシフトするメリットとは?

人材不足を補うことができる

日本はIT人材の不足が問題視されています。経済産業省によると2030年にはなんと最大で79万人のIT人材が不足すると言われています。

一方で、オフショア開発国として人気のベトナムは国策としてIT教育を行っていて、2030年にはITエンジニアを含めた150万人のIT人材輩出を目指しています。

また日本教育に触れた人材も多くいて、現在日本に技能実習生として来ている外国人のうち、約45%はベトナムから来ています。勤勉な性格も日本と似ているところがあり、日本人と相性が良いと言われています。

また、IT関連の教育を展開している大学がベトナムには30校近くあり、毎年約5万人の新人エンジニアを輩出している現状にも注目です。

要件が明確化し、ミスを抑えることができる

従来のような下流工程のみの依頼では、要件を正確に共有することが難しく、コミュニケーションロスによる誤解やミスが発生してしまうことがありました。

しかし、オフショア開発で上流工程を任せることにより要件や設計が共有されるため、こうしたミスを最小限に抑えることができるのです。

遠隔チームとの効果的な連携を図り、正確な要件定義や設計を行うことで、プロジェクトの成功効率を高めることにもつながるでしょう。

コスト削減

上流工程では要件定義や設計といった非常に重要な作業が含まれますが、これらをオフショアチームに委託することで、日本企業のエンジニアはより高度なタスクに集中できます。

これにより、人件費の削減や開発プロセス全体のコスト削減が可能です。

オフショア開発で上流工程にシフトする際に気をつけるべきこととは?

円滑なコミュニケーション

要件定義や設計などの上流工程はプロジェクトの基盤を築く重要な段階です。

オフショアチームとのコミュニケーションを密にし、誤解を避けるために適切なコミュニケーションツールとプロセスを活用していきましょう。

またオフショア開発国は国も違えば文化も異なります。例えば日本では曖昧な表現をしてしまうことがありますが、海外ではそれでは伝わりません。文化の違いを意識して配慮していくことが重要です。

プロジェクトマネジメント

オフショア開発委託先に丸投げをするのではなく、タスクの進捗状況を監視しマネジメントを正確に行うようにしましょう。

週次の報告や進捗確認のプロセスを設けて透明性を確保することが重要です。

セキュリティとプライバシー

上流工程では機密情報が含まれることがあります。オフショアチームとのデータの共有やアクセス制限についてセキュリティ対策を強化し、情報漏洩を防ぐための対策を取るようにしましょう。

まとめ

いかがでしたか。本日はオフショア開発の活用方法として、システム開発の上流工程を依頼するメリットや気をつけるべきことなどについて解説していきました。

従来、日本ではオフショア開発国に下流工程を依頼するのが一般的でしたが、近年では上流工程へシフトする動きが加速しています。

オフショア開発を上流工程へシフトすることで、要件定義をしっかりと伝えることができミスを最小限に抑えることができましたね。

ぜひこの記事を参考に、オフショア開発を取り入れてみてはいかがでしょうか。

makka

Recent Posts

システム開発のライフサイクルとは?主要な開発フェーズと代表なモデルを解説

ビジネスや社会のあらゆる場面でシステムが欠かせない現代において、システム開発を効率的かつ確実に進めるための枠組みとして「システム開発ライフサイクル(SDLC:System Development Life Cycle)」が存在します。 SDLCは、システムを企画・開発・運用・保守するまでの一連の流れを定義したもので、開発プロジェクトを成功させるための道しるべといえます。 この記事では、システム開発ライフサイクルの基本的な考え方と、主要な開発フェーズ、さらに代表的な開発モデルについて解説します。 システム開発を発注・管理する立場の方 IT人材が不足している方 システム開発ライフサイクルの具体的内容が知りたい方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばシステム開発を効率的に進める方法が丸わかりですよ。 (more…)

5 days ago

システム保守の費用相場は?費用を抑えるポイントも徹底解説

システム開発が完了した後、安定して稼働させるためには「システム保守」が欠かせません。 しかし実際に見積もりを取ると、費用が高いと感じる企業も多いのではないでしょうか。 この記事では、システム保守の費用相場を解説するとともに、コストを抑えるための具体的な方法を徹底的に紹介します。 これから保守契約を検討する方 すでに保守契約しているが見直したい方 システム保守の費用について知りたい方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばシステム保守にいくらかかるのかや、費用を抑えるためのポイントも丸わかりですよ。 (more…)

6 days ago

AI総合ソリューションで業務を革新。DEHAが届ける確かな信頼と価値

2017年の起業から今まで、DEHA SOLUTIONSが歩んできた9年間は、お客様と社員の皆様からのご支援とご協力なくしては語ることができません。心より感謝申し上げます。  私たちはこの間、ベトナムを開発拠点とするシステム開発企業として、日本国内のIT市場向け様々な課題に真摯に向き合ってまいりました。2019年に発表された経済産業省によるIT人材需給に関する調査によると、2030年の日本国内におけるIT人材は最大で約79万人が不足すると予測されています。この深刻な状況の中、多くのSIer企業様や中小・大企業様の開発パートナーとしては、高品質で開発及びソリューションを安定的に提供することで、日本のIT業界の成長を支える一翼を担っています。  >>関連記事:日本経済産業省によると2030年には最大で約79万人のIT人材が不足  近年、ビジネス環境は急速に変化し、DXの波が隅々にまで浸透することに加え、AI技術も全産業を席巻しています。DEHAマガジンでも度々記事を取り上げてきたように、現在AIは単なるトレンドではなく、未来の社会を形作る基盤となりつつあります。  そんな大きな時代の変化を捉え、私たちDEHA SOLUTIONSはこれまでの9年間で培ってきた豊富なナウハウで、AI分野に注力を決意しました。単なる技術ベンダに留まらずに、お客様にとって最も信頼性があるAI総合ソリューション開発パートナーとしては、共に課題解決及びビジネス発展にしていくことを目指してまいります。  (more…)

1 week ago

開発リソース不足を解決する5つ方法を徹底比較

開発の現場では「人が足りない」「スキルが合わない」「今すぐ増強したい」が日常茶飯事です。 そこでこの記事では、①オフショア開発 ②ニアショア開発 ③フリーランス・業務委託 ④SES ⑤社内のリソース強化(社員育成・ノーコード/ローコード・AI活用)の5つ手段を、スピード/コスト/品質確保/管理負荷/機密性/拡張性で徹底比較し、選び方の指針まで一気通貫で整理します。 開発を効率化させたい方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めば開発リソースを確保するためのそれぞれの手段について、特徴がわかりますよ。 (more…)

2 weeks ago

【2025年版】ベトナムオフショア開発の人月単価相場

近年、IT人材不足が深刻化する日本市場では、オフショア開発の活用がますます一般的になっています。 なかでも、ベトナムは高い技術力とコスト競争力を兼ね備えた国として、依然として人気を維持しています。 この記事では、2025年最新のベトナムオフショア開発における人月単価相場を役割別に解説し、最新動向までを詳しくご紹介します。 ベトナムオフショアに興味がある方 開発コストを抑えたいとお考えの方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばベトナムオフショアの具体的なコストがわかりますよ。 (more…)

3 weeks ago

【2025年】円安がいつまで続く?オフショア開発に与える影響

2025年8月時点におけるドル/円(USD/JPY)の為替レートは、およそ ¥146.9です。 円安傾向は続いており、過去数十年のトレンドとも重なりつつ、依然として投資・政策動向から注目を浴びています。 この記事ではそんな円安に着目してオフショア開発に与える影響を見ていこうと思います。 オフショア開発を始めたい方 社内のIT人材が不足している方 開発効率を上げたい方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばオフショア開発に円安がどう影響するのかがわかるのはもちろん、いつ始めるべきかまで丸わかりですよ。 (more…)

4 weeks ago