ベトナム情報

ベトナムでの現地採用の現状と課題

はじめに

日系企業の進出が著しいベトナム。

JETROの調べによれば、2019年7月現在で1,848社もの日系企業がベトナムに進出しており、前年より300社以上も増加しています。

こうした背景もあり、日系企業が現地で活動する場合、人材の確保も大きな課題となります。

今回は、日系企業が現地で日本人を採用する際の現状や課題などについてみていきましょう。

ベトナム現地採用日本人の現状とニーズ

日系企業がベトナムで活動する場合、人材確保が第一の課題となります。

中核をなす製造業の場合、現地で大量の労働者を雇って製造に従事させることになりますが、工場や事務所全体をマネージするのが日本から派遣された駐在員で、大体は数名程度の少数精鋭で構成されています。

そして、その日本人駐在員をサポートするために必要とされるのが、いわゆる現地採用(簡略して「現採」と呼ばれます)の日本人となります。

ベトナムに日系企業の進出が増えるに伴い、日系企業は当然ながら日系企業向けや、現地滞在の日本人向けのビジネスやサービスも増大させます。

こうした際に、ベトナム現地でも、日本人の顧客向けの細かな対応が重要であり、その対応が可能な日本人が現地でも必要とされています。

日本語を流暢に話せるローカルスタッフの採用も可能ですが、そこはやはり、「日本人ならではのきめ細かさ、誠実で正確な業務対応能力、礼儀正しさ、アフターフォローの充実」などが求められるからです。

日本人社員の給与体系

ベトナムで働く日本人には、上述したように、日本本社からの駐在員と、現地採用の2種類があります。

当然ながら、両者は給与面などの待遇で差異があります。

日本人駐在員の場合

現地駐在員は、元来日本本社で採用され、その企業が海外(ここではベトナム)に進出する際に、予(あらかじ)め、相当な準備期間を取って対応します。

例えば、しっかりした上場企業などでは、転勤の3ケ月ほど前に「内々示」を行い、本人の承諾、および家族の帯同あるいは単身赴任の選択、その他の身辺整理・準備をさせます。

さらに会社側では、本人の就労VISAやWP(労働許可証)などの手配も万端に整え、赴任させます。

日本本社から駐在員としてベトナムに派遣される社員は、大抵の場合、日本で従来支給されてきた基本給や諸手当、また各種社会保険料等を継続して支給される他に、いわゆる「Allowance(アラウアンス)」と呼ばれる、各種の現地手当を更に支給されます。

一般的なアラウアンスとしては、次のようなものがあります。

・海外赴任手当て(企業によりますが、派遣先地域によって1日当たりいくら、と規定があります)

・危険手当て、地域手当て(これも企業によって、派遣先地域ごとに、滞在するにあたっての「危険度」によって付加的に支給されます)

・海外旅行保険(現地で病気になった場合に備え、これもほとんどの日系企業が対応しています。病院で加入者証を見せれば無料で治療が可能です)

・住居費用(金額に上限を設けている企業が多いですが、上限内で住居費用を負担します)

このように、駐在員は日本で働くよりも、かなり高額な手当てを支給されるのが一般的です。

現地採用社員の場合

これに対して、現地採用日本人の場合は、雇用元が日系企業の「現地法人」となります。

このため、日本で適用される各種社会保険や雇用関係の保険、手当てなどは一切支給されません。

全てが現地通貨で、現地基準による給与体系となります。

当然ながら、各国の現地での物価水準や給与水準がベースとなりますので、そもそも、基本給も当然ながら駐在員よりは安いです。

また、住居費も現地給与の中から実費で自己負担するのが一般的です。

場合によっては交通費まで含まれているケースもあります。

ただ、本人がベトナムで生活する分には問題ない程度の給料は確保できますし、日本本社からの指揮命令系統の外にあるので、現地で働く際の自由度も高く、責任感も、駐在員よりは軽くなっています。

現地採用社員の給与(目安)

では、現地採用日本人社員の給与は一体どの程度なのでしょうか?

筆者の経験や、取引先企業からの情報などを基に、大まかな目安を次にみていきましょう。

営業職:

年収200万円〜600万円程度

営業職ですから、会社ごとに定めた営業成果手当て(インセンティブ)もこれに付加される場合がほとんどです。  

また、自身の経験や実績、人脈が活かせることから、50歳くらいまでのシニア求人もあります。

製造現場

年収200万~600万円程度

製造現場での求人も営業職と同じようなレンジですが、年齢上限は60歳と、幅広いです。

本人のスキルが発揮できる裁量が大きいことによります。

事務職:

年収180万円~330万円程度

事務職の求人は40歳までが上限の場合が多いです。

このほかにも、ITエンジニア(上限は700万円と高額です)など、様々な給与体系(目安)がありますので、検討なさってください。

まとめ

日系企業の進出が拡大するベトナムですが、現地での人材確保は大きな課題です。

全体をマネジメントする駐在員のほか、現地で日本人顧客などを相手に、きめ細かい対応を求められる、現地採用日本人の確保も大きなテーマです。

是非、ローカルスタッフ採用も含め、効率的な運用を心がけていただければと思います。

Hungtv

Recent Posts

【2026年最新】製造業向けグローバルERPシステムおすすめ10選

製造業を取り巻く環境は、グローバル競争の激化、サプライチェーンの複雑化、そしてデジタル化の加速により大きく変化しています。 その中でERP(統合基幹業務システム)は、単なる業務管理ツールではなく、経営の意思決定を支える中核システムへと進化しています。 特に2026年においては、「クラウド化」「AI活用」「グローバル対応」「生産現場との連携」が重要な選定ポイントとなっています。 ERPは企業の成長戦略そのものに直結するため、自社の規模・業種・将来展望に適したシステム選びが不可欠です。 この記事では、製造業向けの代表的なグローバルERPを10製品厳選し、それぞれの特徴を解説します。 グローバルERPシステムが気になる方 製造業の方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めば主要なグローバルERPシステムが丸わかりですよ。 IFS ERP(IFS Cloud) IFS Cloudは、製造業に加えて設備管理やサービス業務まで一体的に管理できる統合ERPです。 特に「アセット集約型製造業」や「プロジェクト型製造」に強みを持っています。…

3 hours ago

SQA(ソフトウェア品質保証)とは? 顧客満足度を高める品質維持の役割と重要性

ソフトウェア開発において品質の確保は単なる技術的課題ではなく、企業の信頼性や顧客満足度に直結する重要な要素です。 その中核を担うのがSQA(Software Quality Assurance:ソフトウェア品質保証)です。 SQAとは、開発プロセス全体を通じて品質を計画的に作り込み、維持・向上させるための活動を指します。 この記事ではそんなSQA(ソフトウェア品質保証)について、その概要や役割などを紹介していきます。 SQA(ソフトウェア品質保証)が気になる方 品質管理に興味がある方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばSQA(ソフトウェア品質保証)の特徴がわかるだけでなく、その重要性が丸わかりですよ。 SQA(ソフトウェア品質保証)とは SQA(ソフトウェア品質保証)とは、ソフトウェア開発において品質を計画的かつ継続的に確保するための活動全般を指します。 単に完成した製品の不具合を検出するテスト工程だけでなく、開発プロセス全体に関与し、品質を作り込む仕組みを整えることが重要な役割です。 具体的には、開発標準の策定や遵守状況の確認、レビューや監査の実施、品質指標の設定と分析、リスクの早期発見と対策などが含まれます。 これにより、開発の初期段階から問題の発生を未然に防ぎ、手戻りやコスト増大を抑えることが可能になります。…

1 day ago

IFS CloudにおけるMigration Jobsの実践

概要 IFS Cloud におけるMigration Job(マイグレーションジョーブ)は、カットオーバーフェーズにおける最重要ボトルネックである。本稿では、実プロジェクトから抽出した知見をもとに、ステージングアーキテクチャ・トランザクション管理・冪等性設計・大容量データ処理・自動アラートの5領域にわたる実践的設計手法とトラブルシューティング戦略を体系的に解説する。適切に設計されたマイグレーションは単なるデータ移送を超え、監査可能性と再現性を備えた運用基盤となる。  (more…)

5 days ago

PQAとは? プロジェクトの成功を支える標準化と導入のメリット

近年、システム開発や製造業、さらにはサービス業においても「品質」の重要性がますます高まっています。 その中で注目されているのが「PQA(プロセス品質保証)」という考え方です。 従来の品質管理が「成果物の品質」を中心にしていたのに対し、PQAは「プロセスそのものの品質」を保証することに重点を置きます。 この記事では、PQAの基本概念と、プロジェクト成功にどのように寄与するのか、さらに導入のメリットについて解説します。 PQA(プロセス品質保証)について知りたい方 製造業やシステム開発をしたい方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばPQA(プロセス品質保証)の概要やメリットなども丸わかりですよ。 (more…)

2 weeks ago

【2034年まで】生成AIチャットボットの日本市場規模は3,300億円超へ予測

生成AIチャットボット市場は、近年のAI技術の進化とともに急速な成長を遂げており、日本においても例外ではありません。 特に、企業のDXの進展と、顧客対応の高度化・効率化ニーズの高まりを背景に、導入が加速しています。 本日はそんな生成AIチャットボットの日本市場規模について、現状とこれからの予測についてお伝えしていきたいと思います。 生成AIチャットボットが気になる方 生成AIチャットボットの市場規模を知りたい方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めば生成AIチャットボットの日本市場規模がわかるのはもちろん、その要因もわかりますよ。 (more…)

3 weeks ago

クラウド型とオンプレミス型の生成AIチャットボットの違い

近年、企業のDXが加速する中で、生成AIチャットボットの導入は急速に広がりを見せています。 顧客対応の自動化や業務効率化、さらには新たなユーザー体験の創出といった観点から、多くの企業がその活用に注目しています。 しかし、いざ導入を検討する段階になると、多くの企業が直面するのが「どのような形態で導入すべきか」という課題です。 この記事では、まず生成AIチャットボットの基本構造と進化の背景を整理した上で、クラウド型とオンプレミス型それぞれの特徴やメリット・デメリットを詳しく解説します。 AIチャットボットに興味がある方 クラウド型とオンプレミス型の生成AIチャットボットについて知りたい方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばクラウド型とオンプレミス型の生成AIチャットボットの違いがわかるのはもちろん、企業がどのような観点で最適な方式を選択すべきか、さらに今後の技術動向もわかりますよ。 (more…)

4 weeks ago