DX

【2023年版】日本中小企業におけるDX推進状況・今後の動向

DX化が注目される中、現状の中小企業のDXの推進状況や今後の動向が気になる方も多いかと思います。

そんな中、IPAは2023年8月にDXの推進に必要となる「戦略」「人材」「技術」に関して取り まとめた「DX白書2023」を刊行しました。

この記事ではそんな「DX白書2023」を参考に中小企業のDX化について紐解いていきます。

  • DX化を進めたい企業の方
  • 社内のIT人材が不足している方
  • 他社のDX化の動向が気になる方

これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めば日本中小企業におけるDX推進状況や今後の状況が丸わかりですよ。

    日本中小企業におけるDX推進状況

    日本全体で言うとDXに取り組んでいる企業の割合は69.3%に増加していて、2021年度調査の55.8%から10%以上アップしています。

    これは米国の77.9%に近づいているものの、全社戦略に基づいて取り組んでいる割合は米国に比べまだまだ低いのが現状です。

    「DX白書2023」

    また、大企業の4割強がDXに取り組んでいるのに対して、中小企業はわずか1割程度にとどまっているそうです。

    その要因として従業員20人以下の中小企業の場合「予算の確保が難しい」と答えが最も多く、従業員21人以上の企業であったとしても人材や企業風土に関する課題が上位を占めているとのことです。

    さらにDXを推進する上でのリーダーシップをとる経営層のITへの知見が低く、経営層とIT部門との連携不足が課題としてあげられます。以下のグラフはIT分野に見識がある役員が3割以上の割合に関する調査ですが、日本は27.8%と米国の60.9%と比べ2倍以上の差があるのが現状です。

    「DX白書2023」

    DX化成功のためにはこれらの課題に関する適切な取り組みや成果評価の精度の設定や見直しが重要です。

    企業のDX化戦略

    DXを行うにあたり、まずはDX推進によって達成するべきビジョンの設定が必要です。そして策定したビジョンを実現するために適切な人材・ITシステム・データの確保を行います。

    DXではこれらのプロセスを早いサイクルで繰り返し、修正と改善を続けていくことが重要です。

    「DX白書2023」

    そして、ビジョンの達成に向け外部環境の変化や自社のビジネスへの影響を鑑みた取り扱い領域を設定します。外部環境の変化として日本の企業で大きな影響を与えているのが「技術の発展」「SDGs」「パンデミック」です。

    DXを進めていく上で「顧客や社会の問題の発見と解決による新たな価値の創出」と「組織内の 業務生産性向上や働き方の変革」というアプローチを同時に進めていくことが重要です。

    「業務効率化」や「アナログ・物理データのデータ化」において成果がでている企業は米国と比べても増えているものの、「新規製品・サービスの創出」や「顧客起点の価値創出によるビジネスモデルの根本的変化」についてはまだまだ取り組みが必要な領域となっています。

    「DX白書2023」

    また、DX推進のためには成果評価をすることは非常に重要なポイントであり、適切なKPIを設定し測定、改善していく必要があります。

    ところが米国における顧客向けの取組については「毎週」「毎月」 評価しているという割合が約5割であるのに対して、日本は1割程度にとどまっています。顧客への価値提供など対応スピードが求められる領域に関して、高精度で実施をしていくなど見直しが必要です。

    今後のDX化の動向に関して

    DX人材の設定

    DXを推進する人材に関して、その人材像を設定して社内で周知している企業の割合は日本では18.4%にとどまっています。(米国は48.2%)

    また設定していないと答えた企業の割合は米国が2.7%である一方、日本は40%にも及びます。

    米国ではDX案件を通じたOJTプログラムを実施していると答えた企業が6割と多く、その他の取り組みも概ね30%から40%と高い割合になっています。

    日本も米国を参考にDX人材の設定、育成を行なっていくことが今後のDXに必要不可欠となるでしょう。

    「DX白書2023」

    人材評価の基準の設定

    DXを推進する人材を評価するための基準に関して、米国では63.8%が基準を設定しているのに対して、日本ではわずか12%にとどまっています。そして基準がないと答えた割合は79.3%になりました。

    DXを推進する人材は既存の人材評価とは異なった基準が必要であり、そのための評価基準の定義が早急に必要です。

    まとめ

    いかがでしたか。本日は「DX白書2023」を参考に日本の中小企業におけるDXの現状や課題、今後の動きなどについて紹介していきました。

    日本の中小企業におけるDXは大企業に比べるとまだまだ低く、予算の確保や社内での認知などに課題があることがわかりました。

    企業のDX戦略では達成するべきビジョンの設定や成果評価が重要です。これらの対応に関して日本は米国と比べ劣っているため、今後のDXを進めるにあたって改善していく必要があるでしょう。

    makka

    Recent Posts

    AIエージェントの活用による弊社の成功事例をご紹介

    近年、AI技術の進化とともに、業務効率化やサービス向上を目的とした「AIエージェント」の導入が急速に進んでいます。 弊社でも、この流れを受けてAIエージェントの導入を進め、多くの現場で業務の質とスピードの両立を実現することができました。 この記事では、実際に弊社が取り組んだAIエージェントの活用事例を紹介しながら、AI導入によるメリットとその可能性についてご紹介いたします。 AIエージェントが気になる方 AIエージェントの事例が知りたい方 社内の人材不足にお悩みの方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばAIエージェントの成功事例が丸わかりですよ。 (more…)

    2 days ago

    AIエージェント導入によくある課題と解決方法

    近年、業務効率化や顧客対応の高度化を目的として、企業や自治体、教育機関など多くの組織で「AIエージェント」の導入が進んでいます。 AIエージェントとは、人工知能を活用して自動的に応答や処理を行うシステムの総称で、チャットボットやバーチャルアシスタント、RPA(Robotic Process Automation)などが含まれます。 しかしながら、AIエージェントの導入には多くの期待が寄せられる一方で、現場ではさまざまな課題に直面するケースも少なくありません。 この記事では、AIエージェント導入によくある課題とその解決方法について、具体的に解説していきます。 AIエージェントに興味がある方 AIエージェントの導入に不安がある方 社内の人材不足にお悩みの方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばAIエージェントの特徴がわかるのはもちろん、うまく活用するための方法もわかりますよ。 (more…)

    2 days ago

    AIエージェントとは?特徴、活用のメリット

    近年、AI技術の進化により、私たちの生活やビジネスのあらゆる場面で人工知能(AI)が活用されるようになっています。 その中でも注目されているのが「AIエージェント」です。音声アシスタント、チャットボット、カスタマーサポートなど、さまざまな場面で導入が進むAIエージェントは、業務効率化やユーザー体験の向上に大きな可能性を秘めています。 この記事では、AIエージェントの基本的な定義から、その特徴、導入メリット、さらに活用事例や今後の展望までを網羅的に解説します。 AIエージェントが気になる方 社内の人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばAIエージェントの特徴や具体的な活用メリットがわかりますよ。 (more…)

    1 week ago

    ベトナムAI経済2025年|最新経済市場動向を読み解く

    AI(人工知能)は、世界各国の経済成長を支える基盤技術として注目されています。 とりわけベトナムでは、政府が国家戦略としてAIの導入を明確に位置づけ、経済、教育、公共行政、スタートアップ育成まで多岐にわたる分野で取り組みを強化しています。 この記事では、「ベトナムAI経済2025年」レポートをもとに、マクロ経済との接続性、国家戦略、セクター別の導入状況、スタートアップ・投資動向、そして将来の展望について解説します。 ベトナムのAIが気になる方 最新のベトナムの経済動向が気になる方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばAIがもたらすベトナム経済の進化と、その背景にある政策と市場構造を総合的に理解することができます。 (more…)

    3 weeks ago

    No-BrSEオフショア開発とは?メリット、活用シーンを徹底解説

    近年、開発現場では「品質」「スピード」「セキュリティ」のすべてを高次元で実現することが求められています。 特に、高度な専門性や情報セキュリティが重要視される分野では、国内同様の品質と体制が前提となります。 そんな中、「No-BrSEオフショア開発」をご紹介します。 これは従来のオフショア開発におけるブリッジSE(BrSE)を介さず、日本語で直接やり取りができる完全日本語対応のラボ型開発チームを導入するモデルです。 この記事ではそんなNo-BrSE開発の特徴、メリット、適した活用シーンまでを詳しく解説します。 No-BrSEオフショア開発が気になる方 社内のIT人材が不足している方 開発の品質を高めたい方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばNo-BrSEオフショア開発のメリットや活用方法が丸わかりですよ。 (more…)

    1 month ago

    請負型とは?メリット・デメリットから活用シーンまで徹底解説

    近年、開発コスト削減やリソース確保を目的として「オフショア開発」を導入する企業が増えています。 その中でも開発スタイルとして注目されているのが「請負型(受託型)」の契約形態です。 この記事では、請負型の基本的な概要から、メリット・デメリット、向いているプロジェクトの特徴、活用シーンまでを徹底解説します。 オフショア開発が気になる方 請負型について気になる方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばオフショア開発の請負型について メリットデメリットがわかるだけでなく活用できるシーンまで丸わかりですよ。 (more…)

    1 month ago