オフショア開発

SAPとは?特徴や導入メリット、ERPとの違い

SAPとは、世界的に広く使用されている企業向けの統合業務管理ソフトウェアです。

ドイツの企業SAP社が開発したこのシステムは、企業の財務、人事、製造、販売、在庫管理など、さまざまな業務を一元的に統合し、効率化を図ります。

この記事では、SAPの主な特徴や導入メリットについて詳しく解説するとともに、ERP(Enterprise Resource Planning)との違いについても触れていきます。

  • SAP に興味がある方
  • 業務の効率化を図りたい方
  • 社内のIT人材が不足している方

これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めば企業がSAPを導入することで、どのような効果を得られるのかが分かりますよ。

SAPとは

SAPは、「経営・業務の効率化」や「経営の意思決定の迅速化」を実現することを目的に、多くの企業で導入されているITソリューションです。

SAPの最大の特徴は、企業の業務全般を統合的に管理できることです。財務、調達、製造、販売、人事管理など、あらゆる業務プロセスを一元化して管理することで、データの一貫性とリアルタイム性を実現します。

SAP社とは

SAP SE(Systems, Applications, and Products in Data Processing)は、1972年にドイツのヴァインハイムで設立されたソフトウェア企業で、現在はバーデン=ヴュルテンベルク州ヴァルドルフに本社を構えています。

ERP分野のリーダーとして知られ、財務、販売、製造、人事管理など、さまざまな業務領域を統合的に管理できるソリューションを提供しています。

SAPの主力製品であるSAP S/4HANAはクラウド対応が進んでおり、デジタルトランスフォーメーションを推進する企業にとって重要なツールとなっています。

SAP SEはイノベーションに注力し、AI、IoT、機械学習などの先端技術をERPソリューションに統合しています。

このような技術革新とグローバルな展開により、SAPは幅広い業界で信頼される存在となっています。

SAPの主な特徴

モジュール構造

SAPは、企業の業務プロセスを効果的に管理するために、分野ごとにモジュール化されています。

このモジュール構造により、財務、人事、販売、製造などの機能を個別に導入したり、統合して利用したりすることが可能です。

主なモジュールには、以下のようなものがあり、必要に応じてこれらのモジュールを組み合わせることで、自社に最適なシステムを構築できます。

FI(Financial Accounting)財務会計管理
CO(Controlling)管理会計
MM(Materials Management)資材管理
SD(Sales and Distribution)販売および流通
HR(Human Resources)人事管理

リアルタイム処理

SAPはデータをリアルタイムで処理する機能を持っています。これにより、最新の情報を基に迅速な意思決定が可能です。

具体的には、例えば在庫情報が更新された瞬間に販売部門や調達部門もその情報にアクセスできるため、業務の遅延を防ぎます。

また、トランザクションデータが即座に反映されることで、財務レポートや業績分析の正確性が向上し、戦略的な判断をサポートします。

高い柔軟性

SAPは各種業界向けのテンプレートやモジュールが用意されており、これにより業務プロセスのカスタマイズが容易になります。

また、SAPはクラウド対応も進んでおり、企業の規模や成長に応じてスケールアップやスケールダウンが可能です。

 さらに、他のシステムやアプリケーションと統合する能力も高く、異なるシステム間でデータを考慮に共有できるため、ビジネス環境の変化に迅速に対応できます。

クラウド対応

SAPはクラウド対応に優れたERPソリューションを提供しております、SAP S/4HANA CloudやSAP Business Technologyプラットフォーム(BTP)など、クラウドベースの製品が企業に柔軟な運用環境を提供します。

クラウド上で行う動作のため、インフラの管理負荷を軽減し、スケーラビリティや可用性が向上します。

コスト削減と業務の迅速な拡張が可能となり、グローバルな運用にも対応できます。 さらに、SAPのクラウドソリューションは、データ分析やAI機能の活用サポートし、一度での意思決定を可能にします。

SAPを導入するメリット

業務効率の向上

SAPは企業の各部門(営業、製造、物流など)を一元化し、データの継続性とその間での情報共有を実現します。

これにより、部門間の連携がスムーズになり、重複作業や手作業の削減が可能です。動化されたプロセスにより、エラーが減り、迅速かつ正確な業務遂行が可能になります。

結果として、業務フロー全体が効率化され、企業全体の生産性向上につながります。

データの一元管理

SA​​Pは企業の各部門やプロセスに関連するデータを統合し、一度で共有する仕組みが提供されます。

部門ごとに異なるシステムで管理されていたデータが一つのプラットフォーム上で管理され、情報また、データの整合性が保たれ、より信頼性の高い意思決定が可能になります。

さらに、データへのアクセス設置元化されることで、業務の透明性が向上しますし、迅速かつ正確な報告や分析が落ち着きます。

コスト削減

業務効率が向上することで、人的コストや時間的コストを削減できます。また、クラウド対応のSAPを利用することで、初期投資を抑えることも可能です。

コンプライアンス対応

SAPを導入することで、コンプライアンス対応が強化されます。 

SAPは、法規制や業界標準に基づいた機能を提供し、企業が法の要求を満たすための支援を行います。 労働法規に準拠した報告書作成やその後の処理が可能です

追跡・記録が自動化されるため、不正行為や規制のリスクを軽減できます。 企業は厳格な規制を遵守しながら、リスクを考慮することができます。

グローバル対応

SAPは、多言語・多通貨対応や異なる見解・法規制に準拠した機能を備えており、国際的なビジネス展開をサポートします。

複数の拠点や地域で異なる業務プロセスを統一的に管理できるため、グローバルな境界が強化されます。

また、SAP の当面のデータ共有機能により、各国の拠点間で迅速な情報交換が可能になり、意思決定のスピードが向上します。

SAP は柔軟なシステム構成が可能で、各国のニーズに合わせたカスタマイズが簡単のため、グローバルな運営が効率的かつ効果的に実現できます。

ERPとの違い

SAPはドイツのSAP社が出している企業業務を効率化させるためのERPパッケージの名称です。

ERPは「Enterprise Resource Planning」の略で、企業の業務全体を統合・管理するためのシステムカテゴリを指し、SAP以外にも多くのERPソフトウェアが存在します。

例えば代表的なERPには、SAPのほかに、Oracle ERPやMicrosoft Dynamicsなどがあります。

つまりERPは企業の業務を統合管理するシステム全体を指すカテゴリーであり、その中の一つにSAPが含まれるということです。

言い換えれば、SAPはERPシステムの一つであり、ERPという大きな枠組みの中に位置しています。

SAP導入時の注意点

導入コスト

SAPは高機能でカスタマイズ性に優れたシステムですが、その分導入費用が高額になることが多いです。

初期費用には、ソフトウェアのライセンス費用、システムの設計・構築費用、インフラ整備費用、トレーニング費用などが含まれ、特に大規模な企業ではコストが非常に高くなる可能性があります。

導入前には十分な費用対効果を分析し、予算内で導入を進めるための戦略が必要です。

導入期間

APは非常に多機能でカスタマイズ性が高いため、システムの設計からテスト、実際の運用開始までにはかなりの時間がかかります。

特に大規模な企業では、複数の部門やプロセスを統合するため、導入プロジェクトが数ヶ月から数年にわたることも珍しくありません。

そのため、スケジュールの遅延や予期せぬ問題に備えた十分な計画とリソース確保が重要です。

人材の確保

SAPシステムは高度な知識と専門的なスキルを必要とするため、導入に関わるスタッフには適切なトレーニングと経験が求められます。

内部で専門知識を持つ人材が不足している場合、外部のコンサルタントを雇う必要があり、そのコストも考慮しなければなりません。

また、SAPシステムは導入後も運用・保守が必要なため、長期的に専門的なサポートを提供できる人材の確保が欠かせません。

適切なベンダー選定

SAPは高度にカスタマイズ可能なシステムであるため、導入を成功させるためには経験豊富で信頼できるベンダーを選ぶことが不可欠です。

ベンダーは、システムの設計、カスタマイズ、実装、トレーニング、サポートまで多岐にわたる役割を担います。

ベンダー選定時には、過去の実績や業界での評判、SAPに関する専門知識、サポート体制の充実度を確認することが重要です。

まとめ

いかがでしたか。本日はSAPについてその特徴やメリット注意点、ERPとの違いまで徹底解説していきました。

SAPは、企業の業務効率を大幅に向上させる強力なERPソリューションです。その多機能性、柔軟性、リアルタイム性により、さまざまな業種や規模の企業に対応できます。

ただし、導入にはコストや期間が必要であるため、慎重な計画と準備が求められます。

ERP全般と比べた場合、SAPは特に統合性と実績で際立っています。

導入を検討している企業は、自社のニーズや規模に合ったシステムであるかを確認した上で、適切な計画を立てることが成功の鍵となります。

makka

Recent Posts

システム開発のライフサイクルとは?主要な開発フェーズと代表なモデルを解説

ビジネスや社会のあらゆる場面でシステムが欠かせない現代において、システム開発を効率的かつ確実に進めるための枠組みとして「システム開発ライフサイクル(SDLC:System Development Life Cycle)」が存在します。 SDLCは、システムを企画・開発・運用・保守するまでの一連の流れを定義したもので、開発プロジェクトを成功させるための道しるべといえます。 この記事では、システム開発ライフサイクルの基本的な考え方と、主要な開発フェーズ、さらに代表的な開発モデルについて解説します。 システム開発を発注・管理する立場の方 IT人材が不足している方 システム開発ライフサイクルの具体的内容が知りたい方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばシステム開発を効率的に進める方法が丸わかりですよ。 (more…)

5 days ago

システム保守の費用相場は?費用を抑えるポイントも徹底解説

システム開発が完了した後、安定して稼働させるためには「システム保守」が欠かせません。 しかし実際に見積もりを取ると、費用が高いと感じる企業も多いのではないでしょうか。 この記事では、システム保守の費用相場を解説するとともに、コストを抑えるための具体的な方法を徹底的に紹介します。 これから保守契約を検討する方 すでに保守契約しているが見直したい方 システム保守の費用について知りたい方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばシステム保守にいくらかかるのかや、費用を抑えるためのポイントも丸わかりですよ。 (more…)

6 days ago

AI総合ソリューションで業務を革新。DEHAが届ける確かな信頼と価値

2017年の起業から今まで、DEHA SOLUTIONSが歩んできた9年間は、お客様と社員の皆様からのご支援とご協力なくしては語ることができません。心より感謝申し上げます。  私たちはこの間、ベトナムを開発拠点とするシステム開発企業として、日本国内のIT市場向け様々な課題に真摯に向き合ってまいりました。2019年に発表された経済産業省によるIT人材需給に関する調査によると、2030年の日本国内におけるIT人材は最大で約79万人が不足すると予測されています。この深刻な状況の中、多くのSIer企業様や中小・大企業様の開発パートナーとしては、高品質で開発及びソリューションを安定的に提供することで、日本のIT業界の成長を支える一翼を担っています。  >>関連記事:日本経済産業省によると2030年には最大で約79万人のIT人材が不足  近年、ビジネス環境は急速に変化し、DXの波が隅々にまで浸透することに加え、AI技術も全産業を席巻しています。DEHAマガジンでも度々記事を取り上げてきたように、現在AIは単なるトレンドではなく、未来の社会を形作る基盤となりつつあります。  そんな大きな時代の変化を捉え、私たちDEHA SOLUTIONSはこれまでの9年間で培ってきた豊富なナウハウで、AI分野に注力を決意しました。単なる技術ベンダに留まらずに、お客様にとって最も信頼性があるAI総合ソリューション開発パートナーとしては、共に課題解決及びビジネス発展にしていくことを目指してまいります。  (more…)

1 week ago

開発リソース不足を解決する5つ方法を徹底比較

開発の現場では「人が足りない」「スキルが合わない」「今すぐ増強したい」が日常茶飯事です。 そこでこの記事では、①オフショア開発 ②ニアショア開発 ③フリーランス・業務委託 ④SES ⑤社内のリソース強化(社員育成・ノーコード/ローコード・AI活用)の5つ手段を、スピード/コスト/品質確保/管理負荷/機密性/拡張性で徹底比較し、選び方の指針まで一気通貫で整理します。 開発を効率化させたい方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めば開発リソースを確保するためのそれぞれの手段について、特徴がわかりますよ。 (more…)

2 weeks ago

【2025年版】ベトナムオフショア開発の人月単価相場

近年、IT人材不足が深刻化する日本市場では、オフショア開発の活用がますます一般的になっています。 なかでも、ベトナムは高い技術力とコスト競争力を兼ね備えた国として、依然として人気を維持しています。 この記事では、2025年最新のベトナムオフショア開発における人月単価相場を役割別に解説し、最新動向までを詳しくご紹介します。 ベトナムオフショアに興味がある方 開発コストを抑えたいとお考えの方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばベトナムオフショアの具体的なコストがわかりますよ。 (more…)

3 weeks ago

【2025年】円安がいつまで続く?オフショア開発に与える影響

2025年8月時点におけるドル/円(USD/JPY)の為替レートは、およそ ¥146.9です。 円安傾向は続いており、過去数十年のトレンドとも重なりつつ、依然として投資・政策動向から注目を浴びています。 この記事ではそんな円安に着目してオフショア開発に与える影響を見ていこうと思います。 オフショア開発を始めたい方 社内のIT人材が不足している方 開発効率を上げたい方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばオフショア開発に円安がどう影響するのかがわかるのはもちろん、いつ始めるべきかまで丸わかりですよ。 (more…)

4 weeks ago