北部の首都・ハノイ、そして南部の大商都・ホーチミン。
世界的に有名な2大都市を抱え、南北に長く拡がるベトナムは、毎年6%もの高いGDP成長率を誇り、日系企業の進出も継続・拡大しています。
そして、政治や経済、そして文化、観光や人的交流といった側面からも、日本と非常に緊密な関係を築いています。
日越(ベトナム)両国は、2009年に経済連携協定を結んでおり、ここ最近では、2019年1月にTPP(環太平洋パートナーシップ)での提携も開始しました。
今後、貿易面も含め、ますます強固な関係が進展していくと期待されています。
ここでは、ベトナムの日系企業の実態などについてみていきましょう。
北東アジア地域およびASEAN地域に進出している日系企業の状況(*)をみると、概ね次のようになっています。
(*)2018年JETRO調べ
北東アジア :2,848社(以下同様)
・中国 1,624
・香港・マカオ 497
・台湾 528
・韓国 199
ASEAN: 8,974
・ベトナム 1,532
・タイ 2,634
・インドネシア 1,878
・シンガポール 796
・マレーシア 913
・ミャンマー 406
・フィリピン 449
・カンボジア 299
・ラオス 67
北東アジア・ASEAN地域の中でも、ベトナムはタイ、インドネシア、中国に続く進出規模を誇っています。
かつては中国が「世界の工場」として有名で、多くの日系企業が進出しましたが、人件費の高騰などもあり、最近では、ベトナムは中国を凌駕する勢いで日系企業進出の受け皿となっています。
日系企業のベトナム進出が活性化したのは、1990年から始まった「ドイモイ政策」だといわれています。
この政策の眼目は、ベトナム国の国際協力への参加を進めるというものでした。
1970年代に勃発したベトナム戦争を経て、以前のサイゴン(現在のホーチミン)からハノイへと政治首都を移し、社会主義国家の一員として成り立ってきたベトナムですが、経済成長や各種インフラ整備などが、近隣諸国とくらべて立ち遅れていることに危機感を持った政府が、社会主義体制を維持しながらも、市場経済を導入するという、政経分離の決断をしたのが、その大きな背景となっています。
1990年を境として、大手商社の日商岩井(現・双日)と住友商事の2社による、日系企業向けの工業団地建設が始まり、大手製造業の進出を後押ししていきました。
特に双日は「ベトナムではわが社がナンバーワン」と豪語するほど、ベトナムでのサポートには力を入れています。
日本からベトナムへの進出企業数は、直近のデータ(*)によれば1,848社と、前年よりも更に300社以上も増加しています。
(*)2019年7月JETRO調べ
日系企業の進出が引き続き好調である証拠といえるでしょう。
なお、日系進出企業の業種の比率をみると、企業数ベースでは47%が製造業・工場であり、製造業が大きなウェイトを占めている状況です。
一方、2000年以降になると、製造業との関連性が高い保険・金融・ICT企業などを中心とする、サービス業の進出が続き、近年では、中小規模の製造業やサービス業も多く進出しています。
また、ベトナムはオフショアの開発拠点としても大きな役割を担っています。
日本のオンラインサービスのシステム構築なども盛んに行われており、開発拠点をベトナムに構えたりするIT系企業も増大しています。
更に、流通業でいえば、大手のイオンやファミリーマートなども進出しており、直近では、2018年に老舗の高島屋がホーチミンの中心部に開店し、賑わいを彩っています。
前述したように、日系企業のベトナム進出へと背中を押した理由のひとつが、中国の人件費高騰でした。
事実、2010年から2018年の8年間で、中国の最低賃金は約2倍にまで上昇しています。
一方、ベトナムの製造業・作業員の基本給(月額)は227ドルで、中国(493ドル)の半分以下です。
こうした、格安な労働力確保が、ベトナムの最大の魅力でした。
ところが、2013年に、ベトナムでも最低賃金が大幅に引き上げられたのです。
それ以来、2019年まで、毎年平均6%前後、最低賃金の上昇が続いています。
日系企業に対して直近に実施された調査では、ベトナムへの投資リスク・経営上の問題点として、「人件費の高騰」を挙げた企業がもっとも多く、ここ最近の日系企業における、最大の懸念材料といえるでしょう。
経済成長が著しいということは、同時に、人件費や物価などの諸経費も上昇することを意味します。
ベトナム進出に際しては、近年のこうした急激な環境の変化も考慮したうえで、様々な側面から進出を検討することがポイントとなるでしょう。
約1億人の巨大な人口を誇り、経済成長が続くベトナム。
多くの諸外国同様、親日国でもあり、豊かな資源に恵まれ、首都ハノイと、国際的商都でもあり観光都市でもあるホーチミンの2大都市を抱えるベトナムには、尽きせぬ魅力があります。
多くの日系企業が進出し、活気溢れるベトナムですが、経済発展に伴い様々な課題も抱えています。
それでも、また、筆者の生活体験からしても、生活するのにとても有意義な国であることは間違いありません。
ビジネスや社会のあらゆる場面でシステムが欠かせない現代において、システム開発を効率的かつ確実に進めるための枠組みとして「システム開発ライフサイクル(SDLC:System Development Life Cycle)」が存在します。 SDLCは、システムを企画・開発・運用・保守するまでの一連の流れを定義したもので、開発プロジェクトを成功させるための道しるべといえます。 この記事では、システム開発ライフサイクルの基本的な考え方と、主要な開発フェーズ、さらに代表的な開発モデルについて解説します。 システム開発を発注・管理する立場の方 IT人材が不足している方 システム開発ライフサイクルの具体的内容が知りたい方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばシステム開発を効率的に進める方法が丸わかりですよ。 (more…)
システム開発が完了した後、安定して稼働させるためには「システム保守」が欠かせません。 しかし実際に見積もりを取ると、費用が高いと感じる企業も多いのではないでしょうか。 この記事では、システム保守の費用相場を解説するとともに、コストを抑えるための具体的な方法を徹底的に紹介します。 これから保守契約を検討する方 すでに保守契約しているが見直したい方 システム保守の費用について知りたい方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばシステム保守にいくらかかるのかや、費用を抑えるためのポイントも丸わかりですよ。 (more…)
2017年の起業から今まで、DEHA SOLUTIONSが歩んできた9年間は、お客様と社員の皆様からのご支援とご協力なくしては語ることができません。心より感謝申し上げます。 私たちはこの間、ベトナムを開発拠点とするシステム開発企業として、日本国内のIT市場向け様々な課題に真摯に向き合ってまいりました。2019年に発表された経済産業省によるIT人材需給に関する調査によると、2030年の日本国内におけるIT人材は最大で約79万人が不足すると予測されています。この深刻な状況の中、多くのSIer企業様や中小・大企業様の開発パートナーとしては、高品質で開発及びソリューションを安定的に提供することで、日本のIT業界の成長を支える一翼を担っています。 >>関連記事:日本経済産業省によると2030年には最大で約79万人のIT人材が不足 近年、ビジネス環境は急速に変化し、DXの波が隅々にまで浸透することに加え、AI技術も全産業を席巻しています。DEHAマガジンでも度々記事を取り上げてきたように、現在AIは単なるトレンドではなく、未来の社会を形作る基盤となりつつあります。 そんな大きな時代の変化を捉え、私たちDEHA SOLUTIONSはこれまでの9年間で培ってきた豊富なナウハウで、AI分野に注力を決意しました。単なる技術ベンダに留まらずに、お客様にとって最も信頼性があるAI総合ソリューション開発パートナーとしては、共に課題解決及びビジネス発展にしていくことを目指してまいります。 (more…)
開発の現場では「人が足りない」「スキルが合わない」「今すぐ増強したい」が日常茶飯事です。 そこでこの記事では、①オフショア開発 ②ニアショア開発 ③フリーランス・業務委託 ④SES ⑤社内のリソース強化(社員育成・ノーコード/ローコード・AI活用)の5つ手段を、スピード/コスト/品質確保/管理負荷/機密性/拡張性で徹底比較し、選び方の指針まで一気通貫で整理します。 開発を効率化させたい方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めば開発リソースを確保するためのそれぞれの手段について、特徴がわかりますよ。 (more…)
近年、IT人材不足が深刻化する日本市場では、オフショア開発の活用がますます一般的になっています。 なかでも、ベトナムは高い技術力とコスト競争力を兼ね備えた国として、依然として人気を維持しています。 この記事では、2025年最新のベトナムオフショア開発における人月単価相場を役割別に解説し、最新動向までを詳しくご紹介します。 ベトナムオフショアに興味がある方 開発コストを抑えたいとお考えの方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばベトナムオフショアの具体的なコストがわかりますよ。 (more…)
2025年8月時点におけるドル/円(USD/JPY)の為替レートは、およそ ¥146.9です。 円安傾向は続いており、過去数十年のトレンドとも重なりつつ、依然として投資・政策動向から注目を浴びています。 この記事ではそんな円安に着目してオフショア開発に与える影響を見ていこうと思います。 オフショア開発を始めたい方 社内のIT人材が不足している方 開発効率を上げたい方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばオフショア開発に円安がどう影響するのかがわかるのはもちろん、いつ始めるべきかまで丸わかりですよ。 (more…)