日本の企業の46.5%がオフショア開発を進めていると言われています。 オフショア開発先進国である中国やインドでは人件費が高騰している一方で多くの企業に注目されているのがベトナムです。
しかし、実際にオフショア開発を考えても、
「オフショア開発をどんな会社に相談すればいいのか分からない」
「ベトナムのオフショア開発の実態について知りたい」 などの疑問や不安があるかと思います。
そこで、今回の記事では数多くの日本企業のベトナムのオフショア開発をサポートしてきたdehaソリューションだからこそ伝えることができる
- オフショア開発に成功するための5つのポイント
- オフショア開発で失敗してしまう企業の共通点
- オフショア開発の実際の相場と必要な費用など
を紹介していきます。 この記事を読めばオフショア開発のポイントを網羅できるので是非参考にして下さいね。
目次
オフショア開発とは


オフショア開発とは 「オフショア」(”Off Shore”=「岸:Shoreから、Off:離れた」を語源とし、「海外」という意味に使われます)で、「開発」(=主にシステム開発などを指します)を行うことです。
日本のソフトウェア開発や事務作業がメインでしたが、近年ではAI開発やサイト制作の現場でもよく見られるようになってきました。
ニアショアとの違い
オフショア開発と似たものにニアショアがあります。ニアショアとは、開発業務を部分的もしくは全部を、比較的近い距離の場所にある企業に外注することをいいます。主に、ニアショアの対象になるのは国内の地方都市です。ニアショアは、国内の企業と事業を行うので、言葉の壁といったデメリットがないのもポイントです。
日本での開発との比較
オフショア開発と日本での開発の主な違いは、人件費と採用のスピード感にあります。以下の表にまとめています。
日本人エンジニア | オフショア開発会社 | |
コミュニケーション | 日本語 | 日本語と英語 |
人件費 | 人月単価90万円~ | 人月単価30万~ |
スキル・開発能力 | 不安定 | 安定 |
開発スケジュールの柔軟性 | 柔軟 | 大規模な仕様変更には向かない |
採用の難易度 | 高い | 日本と比較すると低い |
スピード感 | 採用能力による | 採用能力による |
人件費は高いものの、日本人エンジニアとの開発はコミュニケーションや、開発スケジュールの柔軟性が優れています。
一方で、オフショア開発を行う際には、エンジニアのコミュニケーション能力を事前に確認し、仕様書や開発スケジュールについてしっかり打ち合わせておくことでトラブルを防ぐことができます。
オフショアに向いている開発とは
オフショア開発にむいている開発は主に以下の4つです。
- 自社の既存ITサービスの開発
- AI開発や画像解析システムなどの複雑な設計が必要な開発
- Saasなどのベンチャーやスタートアップにおける新規のアプリ開発
- コーポレートサイトやECサイト制作などの定番化されている開発
オフショア開発では、数学的な処理やコーディングなど世界共通で行うことができる開発を委託するのがポイントです。一方で、日本は独自の美的感覚を持っているため、デザインなどの感覚的な作業は苦手といえます。
デザインは日本側である程度おこない、設計や開発の部分をオフショア開発で行うとより効果的な開発を行うことができます。
オフショア開発の3つのメリット


まずは、オフショア開発のメリットについて解説していきます。オフショア開発の大きなメリットには一般的には開発のコストが低いことが主な理由ですが、実は他にも多くのメリットがあります。
オフショア開発のメリット・デメリットは「 オフショア開発先でベトナムをおすすめする5つの理由 」にてより詳しく紹介しています。
人件費が低い
多くの企業にとって魅力的なのは単純に人件費が安いことです。実際に日本のエンジニアや、コーダーを採用しようと思うと、
- 採用広告費
- 人材紹介業者へのフィー
- エンジニア、コーダーへの人件費
などなど多くの費用がかかります。さらに日本ではプロジェクト単位でのエンジニア採用は少ないため、もし採用できても社内文化などに合わない人材の採用というリスクがあります。
一般的な日本人エンジニアの人件費は 人月単価90万円~ である一方で、オフショア開発の場合は人月単価30万~円前後。日本のエンジニアの採用に比べて低いコストでのエンジニア採用を実現できます。
オフショア開発以外にもベトナムでの現地採用のポイントが知りたい方は「ベトナムでの現地採用の現状と課題」で紹介しています。
日本よりも優秀なエンジニアを確保しやすい
日本でもプログラミング学習が進み、多くの人材育成が進んでいます。一方で、実際の現場ではなかなか自走して開発をすすめるほどのスキルを持った人の採用は非常に困難であるというのが現場の実情でもあります。
一方で、オフショア開発が進んでいる海外では日本に比べて技術力を持った人材が非常に多いです。さらに、英語圏や中華圏の国では最新の情報に常に触れることができる環境なので様々な知見を持っています。
特に現地でオフショア開発の委託を受けている企業では様々なプロジェクトを経験した優秀なエンジニアが揃っているため、日本でのエンジニアを採用するよりも開発が進みやすい場合もあります。
様々な企業のオフショア開発事例は「伸びゆくベトナム経済、2019年12月も外資系企業の進出加速」「ベトナム日系企業の実態」で紹介しています。
日本に比べて開発のコストを下げられるため、プロトタイプなどの開発を行いやすい
オフショア開発では、人件費の削減、工数の削減が見込めるため開発全体のコストを抑えることができるため、プロダクトの試作品やプロトタイプの開発を行いやすいというメリットもあります。
オフショア開発ではプロジェクトごとの契約ができるため失敗した際の撤退コストやサンクコストを下げることができるため、開発費を抑えることができます。
エンジニアの採用でPJが遅延することや、スキルの確認などに時間がかからないためスピード感を維持した開発することが可能です。
プロトタイプが早急に必要な場合や、日本人エンジニアの採用が滞り事業が進まない場合にはオフショア開発は有効な開発手段です。
オフショア開発の課題と対策


メリットの多いオフショア開発ですが、一方で課題も少なくありません。
- コミュニケーションコストが高い
- 開発途中での急な開発要件の変更が困難
- 働き方に対する考え方が変わる
事前にうまく対策できるように、オフショア開発の課題と対策について1つずつ確認しておきましょう。
コミュニケーションコストが高い
オフショア開発は基本的には英語が共通語として使われます。英語でも十分にコミュニケーションを取れれば問題ありませんが、デザインの委託をする際になどには細かなニュアンスが必要になります。そのため英語でも細かいニュアンスを伝えられる人材が日本側に必要です。
そのため、デザインなどの感覚が重要になってくる案件にはオフショア開発は向きません。
また、実務以外で開発チームとの信頼関係を構築する上でもコミュニケーションが必要です。オフショア開発ではブリッジSEと呼ばれるPM的な役割を持った人材が両チームの橋渡し的存在がいます。多くの企業はブリッジSEに現地とのコミュニケーションを丸投げしてしまいます。しかし、ブリッジSEに頼ってしまい現地チームと直接のコミュニケーションが少ないと細かなミスなどから不信感が生まれ開発速度にも影響がでます。
日本人ならなんとなくわかるような意思疎通も難しいため、コミュニケーションコストの高さについては十分に理解しておきましょう。
オフショア開発会社を選ぶ際には、日本企業との開発実績が多く経験豊富なブリッジSEがいる開発会社を選びましょう。
開発途中での急な要件の変更が困難
日本の開発とは異なり、オフショア開発では急な開発要件の変更が困難です。なぜなら、オフショア開発ではまず開発の要件定義を行い、それに応じて人材をアサインし費用を見積もるからです。
アジャイル型開発やラボ型開発であれば、要件を徐々に変えながらでも開発は進みますが、一般的な期間限定のオフショア開発の場合には規定の仕様を急に変更すると余計な費用や、現地のエンジニアの仕様理解の時間が必要です。
そのため、オフショア開発を始める際には、仕様書をどれほど作り込めるかが重要になります。開発内容についてヒアリングし急な変更でもある程度対応できる仕様書を、現地向けに合わせて作成してくれる会社を選ぶことがポイントです。
働き方に対する考え方が異なる
日本の場合には納期ギリギリの際には、休日出勤やサービス残業などでなんとか間に合わせることも珍しくはありませんが、外国人エンジニアには「休日出勤」などの考え方が通用しないことを理解することが重要です。
外国人のエンジニアは、全く日本のエンジニアと働き方に対する概念も違うため多くの日本企業はここで文化の違いに驚きます。だからこそ、仕様書のスケジュールは日本で開発をすすめる際よりも気をつけて調節することが必要です。
納期ギリギリでは頑張ってくれるという期待を持たずに、スケジュール内で終了するということを念頭に置いて仕様書を作成しましょう。
会社選びの際には、日本企業との開発に慣れてる会社に委託することも1つのポイントです。
オフショア開発の種類


オフショア開発には以下の2つの種類があります。
- 請負型開発
- ラボ型開発
自分にあったオフショア開発方法を選ぶためにも、1つずつ確認しておきましょう。
請負型開発(受託型開発)
請負型開発(受託型開発)とは、システム開発の明確な目標・目的があり、それを満たすことによって報酬を支払う契約形態になります。
オフショア開発のほとんどが請負型開発で行われ、低コストで短期間の開発に適した開発方法です。例えば、一般的なソフトウェア開発やシステム開発が請負型開発で行われます。
納品が完了したら開発会社の業務は終了します。そのため契約時には、完成責任や、瑕疵担保責任を事前に確認しておきましょう。
ラボ型開発
ラボ型開発(準委任契約)とは、ある 一定期間(半年〜1年)の間、お客様の専用のチームを用意し開発を行うという契約形態のことです。
長期的にチームでの開発を、エンジニアの採用コストなどを抑えながらすすめることができます。ラボ型開発は、アプリ開発やECサイト制作などのプロジェクトで用いられることがあります。
請負型(一般的なオフショア開発) | 準委任(ラボ型開発) | |
開発費用 | 低い | 高め |
開発期間 | 短めの納期 | 長めの納期 |
開発の柔軟性 | 基本的には途中変更は行われない | 柔軟な対応をすることができる |
コミュニケーションの有無 | 基本的には、PMが開発チームとの直接コミュニケーションを取る場合が多い | ブリッジSEと呼ばれる、エンジニアがPMと開発チームとの橋渡し役となる |
おすすめのオフショア開発国はベトナム


オフショア開発は様々な国で行われており、インドや中国、ベトナムなどの国が中心です。
特に、オフショア開発国のなかで注目されているのはベトナムです。もちろん中国やインドなどは、ITの超先進国で技術力には定評があります。しかし、日本語でのコミュニケーションが難しい場合や、月人単価が日本人エンジニアと同程度でコストメリットが弱いという特徴があります。
中国やインドに変わって、近年注目されているオフショア開発国は、ベトナムです。技術力ではITの超先進国であるインドや中国に劣る部分はあります。一方で、日系企業が多数進出していることから、英語だけでなく日本語でのコミュニケーションができます。さらに、月人単価も抑えることができるため、コストメリットがあるのも大きな特徴です。
オフショア開発国に悩んだら、まずはベトナムに拠点を持つオフショア開発会社に相談してみましょう。
ベトナム | 中国 | インド | シンガポール | フィリピン | |
コミュニケーション能力 | 日本語英語 | 中国語英語 | 英語 | 英語日本語 | 英語 |
平均月人単価 | 32.26 万円 | 38.13 万円 | 38.65 万円 | 32.6万円 | 33.72 万円 |
スキル・開発能力 | 高い | 高い | 高い | 高い | 不安定 |
今後の動向 | 安定 | 人件費高騰 | 人件費高騰 | 人件費高騰 | 安定 |
採用の難易度 | 低い | 高い | 高い | 低い | 高い |
開発スピード | 普通 | 早い | 早い | 不安定 | 不安定 |
親日性 | 安定 | 不安定 | 安定 | 安定 | 安定 |
オフショア開発会社の選び方


オフショア開発は多数ありますが、オフショア開発会社を選ぶ際には以下の3点に注目しましょう。
- 日本側と現地側の都合に精通した業者に相談する
- オフショア開発の実績と得意分野を確認する
- 事前にエンジニアのスキルチェックを行う
オフショア開発会社選びを成功させるためにも、1つずつ確認しておきましょう。
日本側と現地側に都合に精通した業者に相談する
オフショア開発を行う際には日本の商習慣や、海外の商習慣を理解している人材がプロジェクトを推進することが必要です。そのため、日本側と現地のどちらの事情に精通している開発を行う必要があります。
開発方法や目的によって適した人材は異なるため、人材会社ではなくオフショア開発会社のほうが実際に開発を進めた際にスピード感を維持して開発をすすめることができます。
オフショア開発会社を選ぶ際には、自社の開発内容に適したエンジニアをアサインすることができるかどうかを確認しましょう。
オフショア開発会社の実績と得意分野を必ず確認しておく
オフショア開発会社によってアプリ開発や、サイト制作、AI開発など得意な分野が異なります。得意な開発が異なるのは、所属しているエンジニアの質が異なるからです。
例えば、画像解析やAI開発などの高度な技術に対応できる会社や、單純なシステム開発のみにしか対応できない会社などが存在します。
委託する際には、どんな実績が過去にあったのかを確認しプロジェクトに必要な開発実績がある会社かを確認しておくことがかかせません。
さらに、オフショア開発にそもそも向いている開発と向いていない開発があります。オフショア開発に向いている開発がどのような開発かは「オフショア開発に向いている開発とは」で解説しています。
事前にエンジニアにスキルチェックを行なっておく
オフショア開発会社を決めて、現地のエンジニアと実際に開発を進めていく前に必ず行なっておくべきなのはスキルチェックです。スキルチェックの際に確認しておきたいのは以下の3点です。
- コミュニケーション能力
- 使用言語の習熟度や過去の開発コード
- 開発内容について説明し、どこまでできるかを作業フローごとに確認する
オフショア開発では自社開発に比べて、スピード感が求められるため教育に時間をかけることができません。短期間の場合には現地エンジニアのスキルチェックは必ず行うようにしましょう。
また、開発の技術以外のベトナムのエンジニアのスキルセットの特徴は以下になります。オフショア開発会社によって異なるので開発スキルだけではなく、スキルセットも調べておきましょう。
主なベトナム人のスキルセット
要件定義 | ✖︎(※日本独自の要件が必要になる場合があるので外部パートナーや日本人を入れて取り組むことがほとんどです。) |
設計 | △(※仕様書によって変わりますが、設計よりも実際に手を動かして行う開発部分が得意なことが多いです。) |
開発 | ◯ |
テスト | ◯ |
ベトナムでのオフショア開発は、日本国内での要件定義や設計が必要です。そこから、オフショア開発向けに仕様書を作成し、開発を進めていきます。開発フェーズでのスピード感を落とさないためにもスキルチェックやスキルセットの確認は行なっておきましょう。
また、オフショア開発を委託する企業を選ぶ際には、ヒアリングを通じて現地のチームに適した仕様書を一緒に作成してくれる会社を選ぶことが重要です。
オフショア開発は、低コストと短納期に優れた開発方法


オフショア開発の大きな特徴を最後に確認しておきましょう。
- 人件費が少ない
- エンジニアの採用コストを下げることができる
- 開発コストが低いため、テストやプロトタイプの開発にこそ向いている
しかし、「オフショア開発を考えているが、自社に適した開発会社がわからない」という方は非常に多いです。実際に弊社に相談に来られる方も、最初のパートナー会社が合わないという方も少なくありません。
オフショア開発を考えている方に、特におすすめなのは「ベトナムのオフショア開発を失敗しないための10のチェックマニュアル」です。数多くのオフショア開発をサポートしているDEHAソリューションだから分かる、成功企業の3つ共通点や、事前に確認すべき10のポイントについてまとめています。
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