オフショア開発

BrSE(ブリッジSE)とは?オフショア開発での役割、必要なスキルをご紹介【2025年最新版】

皆さんはBrSE(ブリッジシステムエンジニア)という言葉はご存知でしょうか。

BrSEはその言葉の通り、Br(ブリッジ)の役割をするSE(システムエンジニア)のことです。

SEは「クライアントへのヒアリングやシステム設計を行う人」で、ITプロジェクトを推進するにあたって、要とも言える存在です。

では、BrSEは何をする人なのでしょう。どのような役割があって、どのようなスキルを持った人が担当するのでしょうか。

本記事では、ブリッジSEの全体像についてご紹介します。

オフショア開発国の中でも注目されているベトナムのオフショア開発の注意点や費用・他の国との比較については「【保存版】ベトナムのオフショア開発まとめ~メリットデメリット・費用・会社選び~」で解説していますので、合わせてご覧ください。

オフショア開発のブリッジSEとは?

ブリッジSEとはその名前の通りに、日本側の企業とオフショア開発先の企業の「橋渡し」であり、両方を繋ぐ担当者といいます。

日本にいるクライアントからヒアリングした内容を、海外にいる開発者に伝える、国内と海外の取りまとめの役割を担います。

ブリッジSEには技術面に加えて、マネジメントスキルも要求される為、経験がスキルが必要な重要な役割です。

なぜオフショア開発でブリッジSEが必要?

オフショア開発のような国際的なチームで開発を進める場合、それぞれの国の文化、言葉、時差、価値観などの違いから、お互いを知らずに仕事を進めてしまうと、プロジェクトの進捗や品質などに大きな影響を与えることもあります。

そのため、お互いの情報の橋渡しを行う人が必要になります。この役割を担うのがBrSEなのです。

オフショア開発のブリッジSEの仕事内容とは?

発注者の案件対し、プロジェクトの計画の立案、 仕様書の徹底理解・展開、プロジェクトの進捗状況・リスク管理、 納品の期間・品質の管理を行います。

つまり、日本側の発注者と現地オフショア開発チームとの間に立ち、様々な面でのプロジェクト管理を担うのです。

オフショア開発でブリッジSEに求められるスキルとは?

ブリッジSEには、一般的なSEより様々なスキルが求められます。

技術・開発の全般に関する知識

開発する際に、SEとしての技術や開発関係の知識は必須です。BrSEが技術を詳しく理解していなければ、発注者とチームに情報伝達ができず、スムーズに仕事ができないと思われます。

コミュニケーション能力

日本側発注者とのやりとりを行う為、日本語能力は必須です。それに加えて、高いコミュニケーション能力も重要となっています。

両方の要求や希望などを正確に伝えることが求められ、また、両国の文化や国民性を深く理解する意欲と行動力が必要となります。

マネジメント力

計画の通りに仕事の進めるための調整、プロジェクトの進捗や納期の管理も、BrSEの大切なスキルの1つです。

管理の経験があれば、プロジェクトを進めやすいでしょう。

それ以外にも、根気強さ、ビジネス分析・交渉の能力、柔軟性なども重要だと言えます。

オフショア開発で実施中の困難や苦労は?


コミュニケーション

コミュニケーション不足による認識のズレを生み出さないためにも、綿密なコミュ二ケーションをとり、信頼関係を築くことが重要です。

文化の違い

文化の違いのよる相手に対する勘違いを最小限に抑えるため、BrSEとして両方に配慮し、バランスを取らなければなりません。

距離

リモートでの開発なので、仕事に関する連絡・報告がメールやチャットツールになるでしょう。

打ち合わせなどもビデオカールや音声会議システムなどを利用する方が多いです。

そのため、直接に会って行う場合と比べて、不便に感じることもあります。

時差

一般的にオフショア開発では、現地との時差があるため、直接のミーティング機会が限られ、コミュニケーションを取りにくいです。

ただし、オフショア開発先がベトナムだと、時差は2時間であるため、お互いに調整しやすいと思われます。

これまでに弊社で実際に発生した問題は、次の通りです。

         ·     プロジェクトの進捗が遅い

         ·     要求の変更が多い

         ·   チームのメンバーが急に退職する

         ·     報告が実際の状況と違う(特に、BrSEが日本側の発注者にオンサイトする場合)

などがあります。

ブリッジSEの仕事に役立つ資格

PMP (Project Management Professional)

PMP資格は、プロジェクト管理の専門知識を証明する国際的に認められた資格です。

ブリッジSEは多国籍プロジェクトを管理することが多いため、プロジェクトの計画、実行、監視、制御、完了の各プロセスに関する知識は非常に役立ちます。

PMP資格を持つことで、プロジェクトマネージャーとしての信頼性が向上し、プロジェクトの成功率を高めることができます。

特に大規模なプロジェクトにおいては、リーダーシップスキルとプロジェクト管理のベストプラクティスを活用することで、チームの効率と成果を最大化できます。

日本語能力試験 (JLPT)

日本語能力試験(JLPT)は、日本語を母国語としない人々のための言語能力を評価する試験です。

ブリッジSEとして働く場合、日本企業と海外チームの間でのコミュニケーションが重要です。

高い日本語能力を持つことは、正確な意思疎通と円滑な業務進行に役立ちます。

特にJLPT N1やN2レベルを取得していると、ビジネス日本語に対応できることが証明され、クライアントやチームメンバーとの信頼関係を築く上で大きなアドバンテージとなります。

ITパスポート試験

ITパスポート試験は、ITの基本知識を評価する国家試験です。ブリッジSEは技術的なバックグラウンドを持つことが求められるため、ITパスポート試験で得られる知識は基礎として役立ちます。

情報システムやネットワーク、セキュリティ、データベースの基本概念を理解することで、技術的な問題の解決や、技術者とビジネス側の橋渡しを効果的に行うことができます。

この試験を通じて、幅広いIT分野の基礎知識を習得することができます。

FE試験 (Fundamental Information Technology Engineer Examination)

FE試験は、情報処理技術者試験の一つで、基本情報技術者としての能力を評価します。

ブリッジSEにとって、システム開発や運用の基礎知識を持つことは重要です。

FE試験に合格することで、アルゴリズム、プログラミング、ネットワーク、データベースなど、システム開発の基本的なスキルを証明できます。

これにより、開発チームとの技術的なコミュニケーションが円滑になり、プロジェクトの技術的な側面をより深く理解できるようになります。

CAPM (Certified Associate in Project Management)

CAPM資格は、プロジェクト管理の基礎知識を証明する国際資格です。

PMPと同様に、プロジェクト管理の知識を習得することができますが、CAPMは経験が少ない人向けの資格です。

ブリッジSEとしてキャリアを始める際、CAPM資格を取得することで、プロジェクト管理の基本的なスキルを証明し、プロジェクトマネージャーの補佐としての役割を果たす際に役立ちます。

この資格を持つことで、プロジェクト管理の基本的な概念やプロセスを理解し、より効率的に業務を遂行することができます。

ブリッジSEの将来性

ブリッジSEの将来性は、グローバルなビジネス展開が進む現代において非常に高いと言えます。

特に日本企業が海外進出を加速させる中で、ブリッジSEの需要は増大しています。以下にその理由について解説します。

ITアウトソーシングの増加

ブリッジSEの需要性はITアウトソーシングの増加とともに高まっています。多くの企業がコスト削減や技術力の向上を目指して、開発業務を海外に委託するケースが増えています。

この際、言語や文化の壁を超えてプロジェクトを成功に導くために、ブリッジSEの存在は不可欠です。

特に、アジア地域(例えば中国、ベトナム、インド)との協力が多い日本企業にとって、これらの地域の言語やビジネス習慣に精通したブリッジSEは重宝されます。

先端技術の進化

AIやIoT、クラウドコンピューティングといった先端技術の進化に伴い、これらの技術を活用した国際プロジェクトも増加しています。

ブリッジSEは、これらの最新技術に対応するための技術力と、異なる技術背景を持つチーム間の橋渡しを行うスキルを兼ね備えていることが期待されます。

したがって、継続的なスキルアップと最新技術への理解が求められますが、それができる人材は非常に高く評価されるでしょう。

物理的な距離を超えたプロジェクトの増加

最後に、リモートワークやオンライン会議の普及により、物理的な距離を超えたプロジェクトが増えています。

これにより、ブリッジSEは地理的な制約を受けずに活躍できる場が広がっています。

特にパンデミック後のニューノーマルな働き方において、リモートでのコミュニケーション能力が一層重要視されるでしょう。

まとめ

いかがでしたか。本日はブリッジSEについて、どのような仕事内容なのかや将来性、必要なスキルなどについて解説していきました。

ブリッジSEはオフショア開発を行う上で、日本側の企業とオフショア開発先の企業の橋渡しとなる重要なポジションです。

ブリッジSEはスキル面だけではなく、コミュニケーション能力やマネジメントスキルを問われます。

大変な側面も多いですが、将来性も高く今後も重要なポジションであることは間違いありません。

DEHA SOLUTIONSではそんなオフショア開発に関して、特にベトナムオフショアにて8年以上にわたる実績があります。

エンジニアの質や、具体的なコスト面など気になることがございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

moriura

Recent Posts

TQA(技術品質保証)とは? 開発プロセスにおけるその役割と導入メリット

ソフトウェア開発において、品質の確保はプロジェクト成功の最重要テーマの一つです。 市場のニーズは高度化し、リリースサイクルは短期化し、開発チームの構成は複雑化しています。このような状況の中で注目されているのが TQA(Technical Quality Assurance:技術品質保証) です。 TQAは従来のQAと異なり、単にテスト工程で不具合を検出するだけではなく、開発工程全体の技術的な品質を可視化し改善するという役割を担います。 この記事では、TQAとは何か、その役割から導入メリットまで詳しく解説します。 TQAが気になる方 TQAの開発プロセスが気になる方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばTQAとは何かがわかるのはもちろん、導入メリットもわかりますよ。 TQA(技術品質保証)とは? TQAとは、技術的視点から開発プロセス全体の品質を管理・保証する取り組みを指します。従来のQA(Quality Assurance)が主に「プロセス管理」や「テスト計画・品質基準の策定」を担当していたのに対し、TQAはさらに踏み込んで、…

3 days ago

プロジェクト品質管理サービスとは?重要性とプロセスを解説

近年、システム開発・建設・製造・マーケティングなど、あらゆる分野でプロジェクトの複雑化が進んでいます。 市場の変化は速く、顧客の期待値も高まり続けるなか、企業に求められるのは「限られたコストと期間で、高い品質を確保した成果物を提供すること」です。 しかし実際には、品質のばらつき、手戻り、要件の理解不足、工程管理の不徹底などにより、多くのプロジェクトが計画どおりに進まず、結果的にコスト増や納期遅延という課題を抱えています。 こうした背景から注目されているのが プロジェクト品質管理サービス です。専門家による品質管理プロセスの整備・運用支援を通じて、プロジェクト全体の成功確率を高めるサービスとして、大企業から中小企業まで導入が広がっています。 この記事では、プロジェクト品質管理サービスの概要、必要性、導入メリット、サービス内容、実際の運用プロセスまでを詳しく解説します。 品質管理にお悩みの方 プロジェクト品質管理システムに興味がある方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事になっています。これを読めば、品質問題で悩んでいる組織やプロジェクトリーダーにとって、具体的な改善ヒントとなる内容がわかりますよ。 プロジェクト品質管理サービスとは? プロジェクト品質管理サービスとは、外部の専門チームやコンサルタントが、企業のプロジェクトにおける品質管理プロセスを整備し、品質向上やリスク低減を支援するサービスです。主に以下のような内容が提供されます。 品質基準・品質計画の策定 プロジェクト管理プロセスの構築・改善…

1 week ago

生成AIチャットボットは?従来のチャットボットの違い

近年、企業や教育機関、自治体を中心に「生成AIチャットボット」の導入が一気に広がっています。 ChatGPTをはじめとする大規模言語モデル(LLM)が急速に発展したことで、これまでのチャットボットでは実現できなかった高度な対話や柔軟な問題解決が可能になりました。 しかし、「生成AIチャットボット」と「従来型のチャットボット」は何が違うのか、具体的に説明できる人は意外と多くありません。 本記事では、両者の仕組みや特性、メリット・デメリット、そして導入時のポイントまで分かりやすく解説しています。 生成AIに興味がある方 チャットボットを導入したい方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めば生成AIチャットボットが、従来と比べてどう違うのかが丸わかりですよ。 チャットボットとは何か? チャットボットとは、ユーザーとの会話を自動で行うプログラムのことです。 ウェブサイトの問い合わせ窓口やアプリ内のサポート、コールセンターの一次対応など、さまざまな場所で活用されています。 従来のチャットボットは、多くの場合「ルールベース型」「FAQ型」「シナリオ型」と呼ばれる仕組みで動いていました。 これは、あらかじめ作成された回答やシナリオに沿って、決められたパターンの会話を実行する仕組みです。 一方、生成AIチャットボットは、文章を理解し、新たな文章を自動生成する能力を持つ「大規模言語モデル(LLM)」によって動作します。 これにより、従来型とはまったく異なる会話体験を提供できるようになりました。…

2 weeks ago

AI活用でコーディングが効率化し、開発のスピード3倍アップ

いま、ソフトウェア開発の現場で“静かな革命”が起きています。それは、AIがエンジニアの相棒としてコーディングを支援する時代の到来です。 「AIがコードを書くなんて、まだ先の話」と思われていたのはもう過去のこと。今ではAIが自然言語での指示を理解し、数秒でプログラムを提案・修正してくれるのが当たり前になりました。 その結果、開発スピードが従来の3倍に向上したという事例も続々と報告されています。 この記事では、AIがどのようにしてコーディングを効率化し、開発現場を変えているのかを具体的に解説します。 開発をしたい方 コーディングの効率を上げたい方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばコーディングにAIを活用する方法が丸わかりですよ。 コーディング現場の課題と限界 ソフトウェア開発の現場では、長年にわたって「納期の短縮」「品質の維持」「コスト削減」という三大課題がエンジニアを悩ませてきました。 近年では、ビジネス環境の変化がますます激しくなり、リリースサイクルの短期化が当たり前になっています。 特にWebサービスやモバイルアプリ開発の世界では、「スピードこそ競争力」と言われるほど、開発速度が事業の成否を左右します。 しかし、スピードを優先すれば品質が犠牲になり、品質を重視すれば納期が延びる――このジレンマに多くの開発チームが直面してきました。 加えて、エンジニアの人手不足は深刻であり、教育やナレッジ共有に割く時間も限られています。 限られたリソースでいかに生産性を高めるかが、開発現場における共通のテーマとなっています。…

2 weeks ago

要件定義フェーズをAI活用で解決する7つの問題と解決案

システム開発において最も重要であり、同時に最も難しい工程は何でしょうか。 多くのプロジェクトで共通して挙げられるのが 「要件定義」 です。 要求が曖昧なままプロジェクトが進むと、後工程での手戻りが一気に増え、QCD(品質・コスト・納期)は簡単に崩壊します。 実際に、プロジェクトが失敗する原因の6〜7割は、この初期工程である要件定義に起因すると言われています。それほど、要件定義は重要かつリスクの高いフェーズなのです。 しかし近年、AI技術の急速な進化により、従来の要件定義で「時間がかかる」「認識が揃わない」「情報が不足している」といった課題に対し、新たな解決策が生まれています。 この記事では、要件定義フェーズで頻発する7つの課題を取り上げ、それらをAIを活用してどのように改善できるのかを、具体例を交えて解説します。 要件定義フェーズでお悩みの方 AIを活用して開発効率を上げたい方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めば要件定義で起こりうる問題とそれを解決する方法がわかりますよ。 問題1:要求が曖昧で担当者ごとに認識がズレる 要件定義で最初に直面する課題が「要求の曖昧さ」です。 ユーザー自身が課題を把握していても、機能としてどのように落とし込むべきか正確に説明できないケースは非常に多いです。…

3 weeks ago

システム開発のQCDは?プロジェクト管理を最適化

システム開発の現場では、「納期が守れない」「コストが膨らむ」「品質にばらつきがある」といった課題が常に発生します。 こうした問題の根底にあるのが、QCD(Quality・Cost・Delivery)のバランスです。 QCDは製造業を中心に使われてきた概念ですが、現在ではシステム開発やITプロジェクトの世界でも不可欠な管理指標として定着しています。 この記事では、QCDの意味とそれぞれの要素がプロジェクトに与える影響、さらに現代的な最適化の方法までを詳しく解説します。 システム開発を行いたい方 QCDについて知りたい方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばシステム開発のQCDについて丸わかりですよ。 (more…)

1 month ago