オフショア開発

ベトナムIT業界の2020年以降の展望

ベトナム経済は、中国からベトナムへとシフトという潤沢な海外からの投資効果などの影響で、順調な経済成長を続けています。

特にIT分野は著しく成長しています。今後ますます発展が期待されるベトナムのIT業界ですが、2020年以降、将来の展望はどうなのでしょうか。

この記事ではベトナムIT業界の今後について、どのような展望が期待できるのか徹底解説していきます。

  • ベトナムオフショアが気になる方
  • 社内のIT人材が不足している方
  • システム開発を行いたい方

これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばベトナムIT業界の今後が見えてきますよ。

ベトナムIT市場の実態

ベトナム情報通信省が発表した昨年のデータによれば、ベトナムのIT産業の総売上高は9兆円を超えており、内訳をみると、ハードウエアの売上が全体の8割以上で、残りの2割弱がソフトウェア産業の売上となっています。

ハードウェア市場をみると、ホーチミン、バクニン、ハノイ周辺地域を中心多くの企業(外資含む)が進出し、国内で生産した製品を世界各国に輸出しています。

輸出規模は、やや古いデータですが、2017年で約7.5兆円です。

一方、ソフトウェア市場は、同時期のデータで約1兆800億円と推計されています。

IT産業の伸び(オフショア市場としての期待)

ベトナム国内のIT産業の発展に伴い、ベトナム国内でのIT人材需要も急増しており、直近の3年間でみると、その需要が2倍程度まで増大しています。

これに伴い、エンジニアの給与も急騰している状況です。

また、ベトナムのIT業界は、政府からの支援などにより優秀なIT人材が豊富で、インフラ環境や治安が良いなどの理由で、ベトナム企業の日本向けのITオフショア開発規模も拡大しており、年間約1,700億円以上の規模になっています。

更に、オフショア開発規模全体も拡大しており、成長率は年間で20-40%にものぼります。

ベトナムは、非常に魅力的なオフショア開発拠点と評価されており、中でもIT分野の評価は高い状況にあります。

データをみても、ベトナムのソフトウェア企業の売上高の80%以上を海外向けのソフトウェア開発が占めており、日本市場向けのソフトウェア開発の割合が最も高い状況です。

こうした状況から、ベトナムのIT企業は、比較的安価な人件費を武器として活用し、システム開発における「下流工程」の受注を大幅に増やしつつあって、中国やインドといった、先行してきたITオフショア市場に影響を与える存在となっています。

今後の展望と課題

みてきたように、ベトナムのIT業界は、主にオフショア市場としての魅力から、その多くの利益を大規模な海外市場への展開から得ているという実態があります。

事実、ベトナム国内におけるIT市場規模は、例えば日本と比較してもまだ20分の1程度ともいわれており、まだまだ小さいです。

そのため、多くのIT企業も、引き続き主なターゲットを海外市場に求め、自国のIT技術者も海外市場向けの仕事に活用しているのが現状です。

しかし、今後の中長期にわたるベトナムIT業界の展望を考えたときに、このままの状態でよいのか?という議論が起こってくるとみられます。

少子高齢化と人口減少が拡大し、将来間違いなく市場規模が縮減する日本と比較すると、ベトナムは市場全体が今後もまだまだ拡大すると見込まれます。

今から10年後の2030年には人口が1億人を超え、日本を逆転するとみられ、人口構成を見ても若年層が中心となるベトナム市場です。

そんな将来を見据え、今のうちからベトナムの国内市場をターゲットにするオプションも持つべきではないかという議論も起こっています。

現状はまだまだ、ベトナムのIT企業としては、日本市場でプロダクトを販売して、ベトナム市場にローカライズするのが本流ですが、やがてはベトナム国内でのプロダクト販売を睨んだ体制作りも必要となってくると思われます。

かつて中国やインドがそうであったように、ベトナムのITも、オフショアという段階を経て、徐々に次のステップへ移行しつつあります。

それは、オフショア開発をしながら、プロダクトを製作するというものですが、その市場を、将来は海外から自国そのものへと向けていく努力が、今後のベトナムIT業界の課題となるでしょう。

ベトナムIT最大手企業の方針

ベトナムのIT最大手として知られる、FPTソフトウェアのチュオン・ザー・ビン会長の発言も、今後のベトナムIT業界の方向性を示すものとして注目されます。

それは以下の通りです。

  • オフショア依存からの脱却(かつての中国やインドが辿った道)
  • グローバル企業への脱皮に向けてM&Aを加速(海外展開と規模の拡大・集中)
  • 2020年までにデジタル関連の売上高比率を40%とする(すでに今年を迎えています)
  • 世界の大手企業と一緒にデジタル案件に取り組む機会が増えてきた(世界の先進企業との協業)

まとめ

最近の「米中経済戦争」を追い風に、中国からベトナムへとシフトという潤沢な海外からの投資効果などもあり、順調な経済成長を続けるベトナム。

直近では中国発の新型コロナウイルスの蔓延も、代替市場として期待されます。

インフラ整備も着々と進み、国産の自動車が道路を走り、消費市場としても成長が著しい、魅力溢れる国です。

こうした成長力と周辺各国の政治・経済や社会環境、また、海外からの投資や政府間協力など、様々な原動力をバネに、ベトナムIT業界も今後更なる発展が期待されます。

国内エンジニアは高いし、開発を遅らせたくない。そんなあなたへ

dehaソリューションズではオフショア開発によって低コストで迅速な開発をサポートしてきました。

発実績やリソースに関してはもちろん、コスト面など気になることがございましたらご気軽にお問い合わせください。

お問い合わせいただければ、5年間で培ってきたノウハウとナレッジを元に、ご提案をさせていただきます。

▶︎お問い合わせやお見積もりはこちらから

Van Nguyen

Recent Posts

2025年の崖:その後の課題と企業が取るべき対策

「2025年の崖」とは、2018年に経済産業省が発表した「DXレポート」において示された概念です。 2025年には企業の基幹系システムの約6割が導入から21年以上経過し、適切な対策を講じなければ年間最大12兆円の経済損失が発生する可能性があると指摘されました。 この警鐘を受け、多くの企業がレガシーシステムの刷新やERP(Enterprise Resource Planning)の導入を進めました。 しかし、2025年を迎えた現在、単なるシステムの更改では企業の競争力向上には不十分であることが明らかになっています。 この記事では、「2025年の崖」を乗り越えた企業が直面する新たな課題と、それに対する具体的な対策について詳しく考察します。 2025年の崖に対する具体的な課題や解決策を知りたい方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めば2025年の崖が現状どのような状況なのかやその対策などが丸わかりですよ。 (more…)

5 days ago

MESとERFの違い?

製造業において、生産管理の効率化は競争力を維持するために欠かせません。 その中でも、MES(Manufacturing Execution System)とERF(Enterprise Resource Planning for Factories)は重要な役割を果たします。 この記事では、そんなMESとERFについて、それぞれのシステムの概要、特徴、利点、そして違いについて詳しく解説します。 MESとERFについて気になる方 製造業の方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばMESとERFについてそれぞれの特徴がわかるのはもちろん、も分かりますよ。 (more…)

1 week ago

MESシステムとは?特徴、役割やメリットを紹介

MESシステムは製造業において、生産現場の管理などを行うシステムです。MESシステムを導入することで、生産効率や品質の向上が期待されます。 本日はそんなMESシステムについて、どのような特徴があるのかやその役割やメリットなど徹底解説していきます。 MESシステムが気になっている方 製造業の方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばMESシステムについて詳しくなるのはもちろん、導入の際に気をつけるべきことまで丸わかりですよ。 (more…)

1 week ago

【2025年版】オフショア開発で発生しがちな認識のズレを埋めるプロトタイプツール7選

オフショア開発は安価で高品質の開発ができる開発手法ですが、コミュニケーションの問題が発生しがちです。 そんなコミュニケーションロスの問題を解決するツールとして、今回紹介したいのがプロトタイプツールです。 プロトタイプツールを利用することで、会話型のコミュニケーションから視覚的なコミュニケーションに移行することができ、よりわかりやすく情報を共有することができるのです。 この記事ではそんなプロトタイプツールのおすすめ7つを紹介していきます。 オフショア開発に興味がある方 プロトタイプツールを詳しく知りたい方 オフショア開発のコミュニケーションの問題に悩まれている方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めば、オフショア開発のコミュニケーション問題を解決する方法がわかりますよ。 (more…)

2 weeks ago

2025年注目のモバイルアプリ開発フレームワーク 5選

スマートフォン市場がますます進化する中で、モバイルアプリの開発技術も飛躍的に向上しています。 特に、クロスプラットフォーム開発の重要性が増し、開発スピードやコスト削減を実現するフレームワークが次々と登場しています。 この記事では、2025年に注目されるモバイルアプリ開発フレームワークを5つ紹介し、それぞれの特徴やメリットを詳しく解説します。 モバイルアプリ開発を行いたい方 モバイルアプリ開発フレームワークについて最新情報を知りたい方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばモバイルアプリ開発のフレームワークについて注目のものが何なのか丸わかりですよ。 (more…)

2 weeks ago

ベトナムオフショア開発でも対応できるクラウドインフラ基盤構築体制のコツ

近年、クラウドインフラの導入が進む中で、オフショア開発においても効率的なクラウド基盤の構築が求められています。 しかし、クラウドインフラ基盤の構築に際しては、日本とベトナムの技術レベルや環境の違いによって課題が生じることが少なくありません。 そこでこの記事では、ベトナムオフショア開発でもスムーズにクラウドインフラを構築するためのコツについて詳しく解説し、成功のためのポイントを紹介します。 オフショア開発に興味がある方 クラウドインフラを導入しようとお考えの方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めば、オフショア開発を活用する企業がクラウド環境を安定的に運用できる方法が分かりますよ。 (more…)

3 weeks ago