ベトナム人IT人材の品質管理は他のオフショア国と比べ高いと言われています。
そもそもオフショア開発は中国やインドで広がり、今や東南アジアの多くの国で行われています。
なぜそれらのオフショア国と比べ、ベトナムは高いレベルの品質管理が行われているのでしょうか。
この記事ではそんなベトナムオフショアの品質管理に関して徹底解説していきます。
これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばベトナムオフショアの品質管理の秘密が丸わかりですよ。
オフショア開発において、プロジェクトの品質向上を目指すには品質管理チームが重要な役割を果たします。
品質管理チームとは、お客様が安心して気持ちよく商品を利用できるよう調査・管理するチームのことを指します。
要件定義の段階から参加することで開発期間と同時に要件を元にしたテストコードやテストケースを作成することが可能になります。これにより、開発チームからの依頼を受けても手早くテストを行えるのです。
一方、オフショア開発を依頼した企業がオフショア開発先に感じた課題は何かというアンケートによると、「品質管理」や「コミュニケーション力」が課題になっていることがわかります。
品質管理は重要ではあるものの、課題としている企業が多くあることがわかりますね。
そんな品質管理ですが、ベトナムでは高い品質管理を行なっています。オフショア開発白書がオフショア開発企業100社に行なったアンケートによると、ベトナムのオフショア開発企業は「日本人対応」や「技術力」といった他の項目以上に「品質管理・プロジェクト管理」を強みに挙げるケースが最も多かったことが分かりました。
オフショア開発を成功に導くためには、技術力やコスト管理のほかにも、顧客と開発会社間のコミュニケーションギャップの解決などといったオフショア開発に絡むさまざまな課題を熟知し、柔軟に対応する品質管理が重要だということがわかりましたね。
ところで、ベトナムの品質管理の高さはどこからきているのでしょうか。ここからはベトナムオフショアが高い品質管理である理由を紐解いていきます。
ベトナム人には以下のような性格があると言われています。これは高い品質管理を保つ上で重要な性格と言えます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
ベトナム人は手先が器用なため、サプライチェーン移転場所として注目を浴びています。これまで多くのグローバル企業は中国で生産活動を行なってきましたが、サプライチェーンの一部をベトナムへと移転しているのです。
また最近ではハイテク機器などの高付加価値の製造移転も進んでいます。サムスンは2008年にベトナム北部に6億7,000万ドルの携帯電話製造工場を設立。その後10年間でベトナム全国に173億ドルを投資しました。その影響か、ベトナムは世界第2位のスマートフォン輸出国となったそうです。
ベトナムは転職が当たり前の社会で、社会人になってからもスキルアップを目指す若者が多くいます。
こちらのグラフは各国の社外学習・自己啓発を行なっていない人の割合を表しています。日本は残念ながら約半数の人が社外学習を行なっていないですが、ベトナム人はわずか2%のみ。多くの人が社外学習・自己啓発を行なっていることがわかります。
こうした向上心が高い品質管理につながっているのですね。
品質管理をしっかりと行うためには、顧客の希望をしっかりと聞き取るヒアリング力や交渉力が重要です。
ベトナムでは価格交渉を前提とした生産市場があり、話し合いの文化が古くから根付いています。また、歴史的にも中国やフランス、米国とも戦火を交えた国であることから外交でもバランス感覚を重視した交渉が行われています。
こうした背景から交渉力が高く、話し合いの文化が築かれています。
ベトナムでは共働きが基本で、女性が社会の中で活躍しています。世界経済フォーラム(WEF)が発表している「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」(The Global Gender Gap Index=GGGI)によると、ベトナムは146か国83位で、日本の116位と比べると高い数値となっています。(参照:Global Gender Gap Report 2022)
人材不足が深刻化する日本と比べるとわかりやすいですが、女性の就労促進は経済成長にもつながります。
また、最近の研究では、女性が活躍する企業の方が総資産利益率(ROA)や全要素生産性(TFP)といったパフォーマンスが高いことが明らかになっているのです。
ベトナムでは政府がICT教育を推進していて、2030年にはITエンジニアを含めた150万人のIT人材輩出を目指しています。
STEM教育という科学、技術、工学、数学に力を入れた教育を進めていて、中学校からコーディングやIT科目を学ぶようです。
IT関連の教育を展開している大学が30校近くあり、エンジニアになる人は毎年5万人ほどいると言われています。
ベトナム人エンジニアの平均年齢は31歳と若いのが特徴です。日々発展する新しいテクノロジーをキャッチアップする能力が高く、高度IT人材の割合も高いと言われています。
国際交流基金がまとめた「2018年度 海外日本語教育機関調査報告書」によると、ベトナムにおける日本語学習人口は2018年時点で約17万5,000人と世界6位にランクしています。
この伸び率は前回調査と比べ2.7倍となっていて、日本語学習者が急激に増加していることがわかります。
また日本教育に触れた人材も多くいて、現在日本に技能実習生として来ている外国人のうち、約45%はベトナムから来ています。勤勉な性格も日本と似ているところがあり、日本人と相性が良いと言われています。
さらに、近年ではベトナムの理系大学において、オフショア開発の需要増加を見込んで日本語の教育にも力を入れているとのこと。
品質管理にはコミュニケーションが不可欠です。ベトナムが品質管理を得意としていることは分かりましたが、それでもコミュニケーションを円滑に行うためには意識しておいた方がいいことがあるかと思います。
ここからはそんなコミュニケーションを円滑に行うためのポイントを解説していきます。
日本語の話者がいない国にオフショア開発を依頼するよりは、日本語話者が多くいる国で依頼する方がコミュニケーションの問題を回避することができます。
オフショア開発の品質管理で必要な日本語能力は以下の通りです。
ただ単に日本語が使えるかどうかだけでフィルターをかけて依頼をしても、蓋を開けてみたら使えるのは簡単な会話のみだったなんてことも。
オフショア開発の大前提は「要件通りの開発を行う」ことですから、正しく仕様書を読み取り、発注側とのコミュニケーションをスムーズに行うといったスキルは必要不可欠なのです。
国も違えば文化も異なります。オフショア開発では、日本流のコミュニケーションは通用しません。
日本流の「適当にやっておいてね」「細かいところは君に任せるよ」などといった指示は避けるようにしましょう。
これらの商習慣に関して、どちらが間違っているということはありませんが、日本の商習慣に理解があるオフショア先の方が品質管理はスムーズに進むでしょう。
仕様への理解力がなければ、プロジェクトの成功期待できません。
さらに、商習慣の異なる日本とビジネスを行うに当たってオフショア開発国の情報整理能力も重要です。
言われたことを正しく理解できているか、それをチームメンバーに正しく伝えることができるのかもコミュニケーション能力の重要な要素なのです。
またオフショア開発では日本とリモートで仕事が行われます。
リモートワークに慣れていないと、会話がスムーズにできなかったり、そもそも使い方がわからなくて時間がかかってしまうなんてことも…。
そういった面からも、リモートワークへの熟練度もコミュニケーション能力の重要な一部と言えます。
オフショア開発では、日本の商習慣や、海外の商習慣を理解している人材がプロジェクトを推進することが重要です。
人材会社だと開発方法や目的によって必要な人材は変わってしまうので、オフショア開発業者を選択するのをおすすめします。
オフショア開発業者なら、日本側と現地側両方に精通しているので、安心して利用することができますよ。
オフショア開発業者の選び方に関してはこちらの記事を参考にしてください。
合わせて読みたい>>webアプリの開発費用はどのくらい?相場やコスト圧縮のコツを解説【オフショア開発】
いかがでしたか。本日はベトナムIT人材が他のオフショア国に比べ、品質管理の面で秀でている理由について深堀していきました。
ベトナム人は向上心があり、器用かつ交渉力があるという性格がありましたね。
また、IT教育が充実しているのはもちろん、日本語話者が多く日本人と似ているところも多いので日本人とのコミュニケーションが取りやすい点も影響していると言えそうです。
そんなベトナムオフショアですが、DEHAでは5年以上の開発実績があります。日本語を習得し、数多くの日本企業との開発実務経験を積んだ優秀なエンジニアと円滑に開発をすすめることが可能。
開発費用の見積もり相談や資料請求などももちろん無料でできますので、気になった方はお気軽にお問い合わせください。
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