発展が続くベトナムで、特に将来が期待されるIT業界ですが、若いIT人材の育成が望まれています。
こうした状況下、短期間で集中的にITスキルが獲得できる「コーディングブートキャンプ」が注目されています。
これについてみていきましょう。
「TopDeV」のレポートによれば、ベトナムIT人材は現在かなり豊富で、IT関連業務の従事者は約430,000人にのぼり、また毎年55,000人のIT卒業生を市場に供給しています。
その一方、ここ最近IT市場は急速に拡大し、世界トップのテクノロジー企業が進出しており、また、特に日本からの投資協力なども影響して、ベトナムにおけるIT人材は現在約20,000人不足しているといわれています。
IT人材不足を解決するために、ITに関する人材の育成が重要です。
こうした課題を解決するための方法として注目されているのが「コーディングブートキャンプ」です。
ブートキャンプとは、米軍における新兵養成プログラムであり、軍隊式の厳しい訓練を表す言葉でした。
コーディングブートキャンプは、アメリカのシリコンバレーで始まった、短期集中型のプログラミングに必要なスキルを学ぶ方法です。
そして、非常に効果が高いため、この方法を用いたトレーニングが現在世界中で展開されており、このプログラミング教育方法を体験した多くのエンジニアが世界中で活躍しています。
ブートキャンプ方式の特徴は「自分の限界を少しだけ超えることで、大きく成長できる」という点にあります。
しかし、自分の限界を超えるプログラミングに挑戦できる機会は多くないため、こうしたスクール教育形式によって、一定期間プログラミングだけに集中できるのがコーディングブートキャンプのモデルです。
コーディングブートキャンプは、朝から夜まで受講者が集まり、ひたすらプログラミングの練習に集中することで、短期間でスキルを身につける学習スタイルを採用しています。
また、開発するシステムは、参加メンバーがチームを組んでその仕様を考え、それぞれのチームで開発を進めることによって、実際のシステム開発工程を体験できるカリキュラムが組まれているのも大きな特徴です。
さらに、経験豊かなプログラマーが、指導者としてスクール期間中ずっと受講者のサポートを行うため、参加者が理解できない点をその場で指導し、コーディングに集中できます。
このため、コーディングブートキャンプの受講者は丸一日プログラミングに打ち込み、短期間でITスキルを習得することが可能となります。
厳しい内容のコーディングブートキャンプを受講する際には、実績のあるスクールを選ぶことがポイントです。
現在、グローバルに展開しているプログラミング教育サービス事業者を3つ挙げます。
1. TECH::CAMP
最初に挙げられるのがTECH::CAMP(テックキャンプ)です。
アメリカでコーディングブートキャンプが始まった翌年の2012年から活動しており、既に多数のプログラマーを送り出しています。
TECH::CAMPはコーディングブートキャンプで採用されている教育方法を取り入れたプログラミングスクールですが、ブートキャンプといっても厳しく指導する訳ではありません。
また、未経験者がプログラミングの基礎を学ぶ際に最適なカリキュラムを採用しています。
サポート役は同スクールの卒業生が担当しており、同世代から教わる点も初心者には心強いメリットがあります。
2. コードクリサリス
コードクリサリスは、米国シリコンバレーのコーディングブートキャンプを卒業したプログラマーが始めたスクールで、本場シリコンバレーのスタイルで学べるのが特徴です。
コードクリサリスのカリキュラムは、ブートキャンプという名のとおり、特に厳しいことで知られています。逆に言えば、これだけ厳しいカリキュラムだからこそ、初心者でも短期間でプロ並のスキルが身につきます。
このため、大手IT企業の中にはプログラマーの新人教育にコードクリサリスのキャンプを組み入れている場合が多くあります。
3. Le Wagon
Le Wagonはフランスでコーディングブートキャンプを手がける会社で、現在フランスをはじめとするヨーロッパのほか、カナダやブラジルなど世界30都市でブートキャンプを開催しています。
国際的なLe Wagonの大きな特徴として、講義が全て英語で行われる点が挙げられます。また、プログラマーを求める企業との関係を重視しており、海外のスクールを卒業したプログラマーとのコミュニティーも活発に行われています。
プログラミングのスキルを身につければ、働く場所は海外をはじめ幅広く見つけることが可能です。
CodeGymは、ベトナムで初めてCoding Boothcampモデルを採用したIT人材の教育サービス事業者で、短期集中型によるプログラミング学習を提供し、IT人材就職を目指しています。
2017年の設立以来、5000人以上のIT人材を教育支援し、IT業界における高い品質の人材を提供しています。
米軍の新兵養成プログラムを語源とするコーディングブートキャンプの概要とモデル、主要なプログラミング教育サービス事業者について解説しました。
今後、ベトナムでもこうしたシステムを活用することで、多くの優秀なIT人材育成が期待されます。
ソフトウェア開発において、品質の確保はプロジェクト成功の最重要テーマの一つです。 市場のニーズは高度化し、リリースサイクルは短期化し、開発チームの構成は複雑化しています。このような状況の中で注目されているのが TQA(Technical Quality Assurance:技術品質保証) です。 TQAは従来のQAと異なり、単にテスト工程で不具合を検出するだけではなく、開発工程全体の技術的な品質を可視化し改善するという役割を担います。 この記事では、TQAとは何か、その役割から導入メリットまで詳しく解説します。 TQAが気になる方 TQAの開発プロセスが気になる方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばTQAとは何かがわかるのはもちろん、導入メリットもわかりますよ。 TQA(技術品質保証)とは? TQAとは、技術的視点から開発プロセス全体の品質を管理・保証する取り組みを指します。従来のQA(Quality Assurance)が主に「プロセス管理」や「テスト計画・品質基準の策定」を担当していたのに対し、TQAはさらに踏み込んで、…
近年、システム開発・建設・製造・マーケティングなど、あらゆる分野でプロジェクトの複雑化が進んでいます。 市場の変化は速く、顧客の期待値も高まり続けるなか、企業に求められるのは「限られたコストと期間で、高い品質を確保した成果物を提供すること」です。 しかし実際には、品質のばらつき、手戻り、要件の理解不足、工程管理の不徹底などにより、多くのプロジェクトが計画どおりに進まず、結果的にコスト増や納期遅延という課題を抱えています。 こうした背景から注目されているのが プロジェクト品質管理サービス です。専門家による品質管理プロセスの整備・運用支援を通じて、プロジェクト全体の成功確率を高めるサービスとして、大企業から中小企業まで導入が広がっています。 この記事では、プロジェクト品質管理サービスの概要、必要性、導入メリット、サービス内容、実際の運用プロセスまでを詳しく解説します。 品質管理にお悩みの方 プロジェクト品質管理システムに興味がある方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事になっています。これを読めば、品質問題で悩んでいる組織やプロジェクトリーダーにとって、具体的な改善ヒントとなる内容がわかりますよ。 プロジェクト品質管理サービスとは? プロジェクト品質管理サービスとは、外部の専門チームやコンサルタントが、企業のプロジェクトにおける品質管理プロセスを整備し、品質向上やリスク低減を支援するサービスです。主に以下のような内容が提供されます。 品質基準・品質計画の策定 プロジェクト管理プロセスの構築・改善…
近年、企業や教育機関、自治体を中心に「生成AIチャットボット」の導入が一気に広がっています。 ChatGPTをはじめとする大規模言語モデル(LLM)が急速に発展したことで、これまでのチャットボットでは実現できなかった高度な対話や柔軟な問題解決が可能になりました。 しかし、「生成AIチャットボット」と「従来型のチャットボット」は何が違うのか、具体的に説明できる人は意外と多くありません。 本記事では、両者の仕組みや特性、メリット・デメリット、そして導入時のポイントまで分かりやすく解説しています。 生成AIに興味がある方 チャットボットを導入したい方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めば生成AIチャットボットが、従来と比べてどう違うのかが丸わかりですよ。 チャットボットとは何か? チャットボットとは、ユーザーとの会話を自動で行うプログラムのことです。 ウェブサイトの問い合わせ窓口やアプリ内のサポート、コールセンターの一次対応など、さまざまな場所で活用されています。 従来のチャットボットは、多くの場合「ルールベース型」「FAQ型」「シナリオ型」と呼ばれる仕組みで動いていました。 これは、あらかじめ作成された回答やシナリオに沿って、決められたパターンの会話を実行する仕組みです。 一方、生成AIチャットボットは、文章を理解し、新たな文章を自動生成する能力を持つ「大規模言語モデル(LLM)」によって動作します。 これにより、従来型とはまったく異なる会話体験を提供できるようになりました。…
いま、ソフトウェア開発の現場で“静かな革命”が起きています。それは、AIがエンジニアの相棒としてコーディングを支援する時代の到来です。 「AIがコードを書くなんて、まだ先の話」と思われていたのはもう過去のこと。今ではAIが自然言語での指示を理解し、数秒でプログラムを提案・修正してくれるのが当たり前になりました。 その結果、開発スピードが従来の3倍に向上したという事例も続々と報告されています。 この記事では、AIがどのようにしてコーディングを効率化し、開発現場を変えているのかを具体的に解説します。 開発をしたい方 コーディングの効率を上げたい方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばコーディングにAIを活用する方法が丸わかりですよ。 コーディング現場の課題と限界 ソフトウェア開発の現場では、長年にわたって「納期の短縮」「品質の維持」「コスト削減」という三大課題がエンジニアを悩ませてきました。 近年では、ビジネス環境の変化がますます激しくなり、リリースサイクルの短期化が当たり前になっています。 特にWebサービスやモバイルアプリ開発の世界では、「スピードこそ競争力」と言われるほど、開発速度が事業の成否を左右します。 しかし、スピードを優先すれば品質が犠牲になり、品質を重視すれば納期が延びる――このジレンマに多くの開発チームが直面してきました。 加えて、エンジニアの人手不足は深刻であり、教育やナレッジ共有に割く時間も限られています。 限られたリソースでいかに生産性を高めるかが、開発現場における共通のテーマとなっています。…
システム開発において最も重要であり、同時に最も難しい工程は何でしょうか。 多くのプロジェクトで共通して挙げられるのが 「要件定義」 です。 要求が曖昧なままプロジェクトが進むと、後工程での手戻りが一気に増え、QCD(品質・コスト・納期)は簡単に崩壊します。 実際に、プロジェクトが失敗する原因の6〜7割は、この初期工程である要件定義に起因すると言われています。それほど、要件定義は重要かつリスクの高いフェーズなのです。 しかし近年、AI技術の急速な進化により、従来の要件定義で「時間がかかる」「認識が揃わない」「情報が不足している」といった課題に対し、新たな解決策が生まれています。 この記事では、要件定義フェーズで頻発する7つの課題を取り上げ、それらをAIを活用してどのように改善できるのかを、具体例を交えて解説します。 要件定義フェーズでお悩みの方 AIを活用して開発効率を上げたい方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めば要件定義で起こりうる問題とそれを解決する方法がわかりますよ。 問題1:要求が曖昧で担当者ごとに認識がズレる 要件定義で最初に直面する課題が「要求の曖昧さ」です。 ユーザー自身が課題を把握していても、機能としてどのように落とし込むべきか正確に説明できないケースは非常に多いです。…
システム開発の現場では、「納期が守れない」「コストが膨らむ」「品質にばらつきがある」といった課題が常に発生します。 こうした問題の根底にあるのが、QCD(Quality・Cost・Delivery)のバランスです。 QCDは製造業を中心に使われてきた概念ですが、現在ではシステム開発やITプロジェクトの世界でも不可欠な管理指標として定着しています。 この記事では、QCDの意味とそれぞれの要素がプロジェクトに与える影響、さらに現代的な最適化の方法までを詳しく解説します。 システム開発を行いたい方 QCDについて知りたい方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばシステム開発のQCDについて丸わかりですよ。 (more…)