この記事を見つけた人の中には、オフショア開発で苦い経験をしたことがある人もいるのではないだろうか。
オフショア開発といえば、安価にシステムを作れるという魅力につられ、甘い考えで取り組んだ結果失敗した。なんて話をよく耳にする。
実際のところは、思っているほど安くはならないが、日本人エンジニアを確保するよりもリーズナブルであることは事実。
その分、コミュニケーションが難しいのも事実であるが、、、お作法さえ分かればそのハードルはクリアできるそうだ。
結論から言うと、オフショア開発は、用法を守れば日本企業の強い味方であることは間違いない。
そこで、我々のようなベトナムオフショア会社も自らその用法を学び、発信しようと思い立ち、その道のプロに力をお借りすることにした。
前回に引き続きDEHA創業時より、我々に開発を発注してくださっている株式会社マンディ 代表取締役の福田氏(通称:アニキ)にお話を伺ってみた。
オフショア開発国の中でも注目されているベトナムのオフショア開発の注意点や費用・他の国との比較についてはオフショア開発とは|知っておきたい課題と現状、開発国別のコスト相場で解説。
<語り手=株式会社マンディ 代表取締役 福田弥 氏 / 通称アニキ(DEHA社内での愛称)>
<聞き手=もっち(DEHA 新米営業担当)>
【もっち】先日のインタビューありがとうございました。評判とても良かったですよ。
【福田氏】そう言って貰えると嬉しいです。
僕の周りでも「ゲームやAIの開発がオフショアと相性が良いって意外だった」とかって新鮮な意見を貰えて参考になりましたね。やはり発信するって大事ですね。
【もっち】そうなんです。っと言うことで、またまたインタビューをさせていただきたく!
【福田氏】今度は、何にしようかなー。あ、じゃあオフショア開発に不向きな案件!このテーマでお話しましょうか。
【もっち】DEHAとしては、恐る恐るですが、、、よろしくお願いしますっ!!
【福田氏】4つあるんですが、まず1つ目はデザイン案件。
デザインほどオフショア開発に向かないものはないと思います。
【もっち】えっ?なぜ、ですか?
【福田氏】民族や文化によって色彩感覚、美的感覚は違うからです。
例えば中国人は赤が大好きです。中国の街を歩けばそこら中で赤が使われていますし、銀座あたりに大挙している中国人環境客を見ていても赤系の服を着たおばちゃんが目立ったりします。服を見るだけで外国人だと分かってしまいます。逆に日本は中間色系の色合いが好まれたりしますね。
【もっち】ベトナム人も原色が好きですね。赤やピンク、黄色、オレンジ、もしくは白とか。
【福田氏】一転、ECショップのデザインを行うとなると、派手は写真やフォントを多用したデザインにしないと日本じゃ売れません。まるで新宿の繁華街や秋葉原の電気街のようなイメージです。その点、ECショップデザインのグローバルスタンダードはAmazonのような定番的な語りげのないものだと聞きます。
TPOに応じてどのようなデザインが日本人に好まれるかと言うことを外国人が肌感覚で理解すると言うのは非常に難しいのです。
【もっち】逆の立場で考えると、納得ですよね。日本人が外国人むけにまとを得たデザインを作れる気がしないです。
【福田氏】孫請け以上の案件も、できればオフショア開発は避けた方が良いです。
オフショア開発では日本語で書かれた仕様をいかに開発チームと共有するかが肝になります。開発側は日本語ネイティブではないので、日本人のエンジニアとのやり取りに比べてかなり細かいところまで突っ込んで確認してくることが多いです。
【もっち】外国語の微妙なニュアンスを汲み取るのって、難しいですもんね。
【福田氏】直受けの案件であればクライアントとの距離が短い為、開発側の確認に対する回答は迅速に行えます。これが二次請け、三次請けになると、クライアントとの距離が遠くなり、回答を得られるまでの時間がどんどん延びてきます。回答を得られたとしても、伝言ゲームの中でうまく伝わらずこちらの意図通りの回答が得られずに再度質問を投げると言うことも多々あります。
【もっち】そう聞くと、難易度の高い伝言ゲームですね。
【福田氏】本当にそうなんです。このように確認事項からの回答が遅いと何が起こるか…これがオフショア開発の特性なのですが、回答は得られないものと思い、エンジニアが勝手に進めてしまうことが数多く見られます。後から回答しても、その回答内容をスルーされてしまい、結局意図せぬものができ上がってしまうと言うことも多いです。
クライアントとの迅速な意思疎通がないと、オフショアがうまく機能しないことが多くなってきます。
【福田氏】最後は、超短納期の案件ですね。これもオフショアには向きません。
【もっち】こ、、、これは仕事が遅いということですか?汗
【福田氏】違います。仕事が遅いんじゃなくて、無理な長時間労働ができない。させられない。
日本は最近でこそ働き方改革とか言い出していますが、ついこの間までは残業・休日出勤は当然でした。短納期の案件は例外なく、残業や休日出勤なしでは終わらせることはできません。
日本の常識は世界の非常識。ベトナムなどは労働者が法律でしっかりと保護されており、なかなか休日に働かせたり、残業をさせたりと言うことができません。そもそも制度的に日本のやり方を強要することは無理なのです。このような特急案件はオフショアで対応することはかなり難しくなります。
【もっち】仕事第一な日本人とギャップが生じるということですね。
【もっち】ありがとうございます。オフショア開発の苦手分野とその理由がとても分かりやすかったです。
【福田氏】それは良かったです。会社のアキレス腱って、どこもあると思うのですが、それを知った上で行動するのと、知らないと行動するのとでは、大違いですからね。
【もっち】知っていると対策も打てますもんね。
【福田氏】はい。発注側もこれを知っているだけで失敗確率を減らすことができると思います。ただ、苦手だと分かっていても頼みたい時があるのは事実なんですよね。特に日本は人材不足が進む一方ですし。
【もっち】そういう時はどうすれば良いんでしょうか。
【福田氏】オフショア開発側は、お客様に素直に「苦手ですよ」「これはできませんよ」と伝えることが大事だと思いますね。ちゃんと理由を踏まえて話せば発注側も理解できますし。
ま、今日挙げた例は日本企業でも難しいケースが多いので、それを「何でもできます」と安請け合いしちゃう会社よりも、ちゃんとリスクを提示できる企業の方が信頼できますよね。
発注側も難しいことは承知の上で、頼みたいときの対策方法はありますし。
【もっち】と、言いますと?
【福田氏】オフショア開発も使い方も会社それぞれで、自社のサービスの基幹をオフショアに任せている会社もあります。
結局はマネジメント次第なんですよね。要件や仕様をこと細かに設計する方法もありますし、担当者をオフショア開発側にベタ付けで貼り付ける方法もありますし。ようはコミュニケーションミスが起きない工夫をすれば良いのです。
【もっち】なるほど。マネジメント次第では失敗確率を減らせるんですね!とても勉強になりました。ありがとございました!
オフショア開発国の中でも注目されているベトナムのオフショア開発の注意点や費用・他の国との比較については「【保存版】ベトナムのオフショア開発まとめ~メリットデメリット・費用・会社選び~」で解説しています。
長期間かつ柔軟な開発が可能であるというラボ型開発(ラボ契約)の費用や注意点・ポイントについては「ラボ型開発(ラボ契約)とは~メリット・デメリット・向いている開発内容まとめ~【保存版】」で解説しています。
ビジネスや社会のあらゆる場面でシステムが欠かせない現代において、システム開発を効率的かつ確実に進めるための枠組みとして「システム開発ライフサイクル(SDLC:System Development Life Cycle)」が存在します。 SDLCは、システムを企画・開発・運用・保守するまでの一連の流れを定義したもので、開発プロジェクトを成功させるための道しるべといえます。 この記事では、システム開発ライフサイクルの基本的な考え方と、主要な開発フェーズ、さらに代表的な開発モデルについて解説します。 システム開発を発注・管理する立場の方 IT人材が不足している方 システム開発ライフサイクルの具体的内容が知りたい方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばシステム開発を効率的に進める方法が丸わかりですよ。 (more…)
システム開発が完了した後、安定して稼働させるためには「システム保守」が欠かせません。 しかし実際に見積もりを取ると、費用が高いと感じる企業も多いのではないでしょうか。 この記事では、システム保守の費用相場を解説するとともに、コストを抑えるための具体的な方法を徹底的に紹介します。 これから保守契約を検討する方 すでに保守契約しているが見直したい方 システム保守の費用について知りたい方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばシステム保守にいくらかかるのかや、費用を抑えるためのポイントも丸わかりですよ。 (more…)
2017年の起業から今まで、DEHA SOLUTIONSが歩んできた9年間は、お客様と社員の皆様からのご支援とご協力なくしては語ることができません。心より感謝申し上げます。 私たちはこの間、ベトナムを開発拠点とするシステム開発企業として、日本国内のIT市場向け様々な課題に真摯に向き合ってまいりました。2019年に発表された経済産業省によるIT人材需給に関する調査によると、2030年の日本国内におけるIT人材は最大で約79万人が不足すると予測されています。この深刻な状況の中、多くのSIer企業様や中小・大企業様の開発パートナーとしては、高品質で開発及びソリューションを安定的に提供することで、日本のIT業界の成長を支える一翼を担っています。 >>関連記事:日本経済産業省によると2030年には最大で約79万人のIT人材が不足 近年、ビジネス環境は急速に変化し、DXの波が隅々にまで浸透することに加え、AI技術も全産業を席巻しています。DEHAマガジンでも度々記事を取り上げてきたように、現在AIは単なるトレンドではなく、未来の社会を形作る基盤となりつつあります。 そんな大きな時代の変化を捉え、私たちDEHA SOLUTIONSはこれまでの9年間で培ってきた豊富なナウハウで、AI分野に注力を決意しました。単なる技術ベンダに留まらずに、お客様にとって最も信頼性があるAI総合ソリューション開発パートナーとしては、共に課題解決及びビジネス発展にしていくことを目指してまいります。 (more…)
開発の現場では「人が足りない」「スキルが合わない」「今すぐ増強したい」が日常茶飯事です。 そこでこの記事では、①オフショア開発 ②ニアショア開発 ③フリーランス・業務委託 ④SES ⑤社内のリソース強化(社員育成・ノーコード/ローコード・AI活用)の5つ手段を、スピード/コスト/品質確保/管理負荷/機密性/拡張性で徹底比較し、選び方の指針まで一気通貫で整理します。 開発を効率化させたい方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めば開発リソースを確保するためのそれぞれの手段について、特徴がわかりますよ。 (more…)
近年、IT人材不足が深刻化する日本市場では、オフショア開発の活用がますます一般的になっています。 なかでも、ベトナムは高い技術力とコスト競争力を兼ね備えた国として、依然として人気を維持しています。 この記事では、2025年最新のベトナムオフショア開発における人月単価相場を役割別に解説し、最新動向までを詳しくご紹介します。 ベトナムオフショアに興味がある方 開発コストを抑えたいとお考えの方 社内のIT人材が不足している方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばベトナムオフショアの具体的なコストがわかりますよ。 (more…)
2025年8月時点におけるドル/円(USD/JPY)の為替レートは、およそ ¥146.9です。 円安傾向は続いており、過去数十年のトレンドとも重なりつつ、依然として投資・政策動向から注目を浴びています。 この記事ではそんな円安に着目してオフショア開発に与える影響を見ていこうと思います。 オフショア開発を始めたい方 社内のIT人材が不足している方 開発効率を上げたい方 これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばオフショア開発に円安がどう影響するのかがわかるのはもちろん、いつ始めるべきかまで丸わかりですよ。 (more…)