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ベトナム政府の30歳までの早期結婚と出産要請から見る、2030年に向けたベトナムの労働力計画と状況
2020/05/26

はじめに
こんにちは!
日本の社会と比べると、ベトナムは「若年齢社会」と言われるかもしれません。
ベトナムで道を歩く時は子供や20代の若者をよく見かけると思います。しかし、実際はUNFPA(国際連合人口基金)の調査データによると、ベトナムは2017年に高齢化社会に突入したと見られるとのことです。
最近では、ベトナム政府が国民に対して「30歳までの早期結婚と出産」を要請しました。
本記事では、その決定の詳細な情報についてご紹介したいと思います。さらに、そうした要請から見えてくる、2030年に向けたベトナムの労働力計画と状況についても書かせていただきます。
ベトナム政府の30歳までの早期結婚と出産要請・協力について
今年4月28日にベトナム政府は、決定588号を公開し、「2030年までの地域・対象別の出産率調整計画」を承認しました。今回の決定によると、2030年までの人口戦略で掲げた以下3つの目標の達成を目指します。
・出生率が低水準と評価された地方(出産可能年齢の女性一人あたり子供の平均数:2人未満)に対して、合計特殊出生率を10%増加させる
・出生率が高水準と評価された地方(出産可能年齢の女性一人あたり子供の平均数: 2.2人超え)に対して、合計特殊出生率を10%減少させる
・出生率が代替出生率(長期的に現在の人口規模を維持できる出生率)水準と評価された地方(出産可能年齢の女性一人あたり子供の平均数:2~2.2人)に対して、そのまま現状維持を掲げる

上述の目標を実現する為、グエン・スアン・フック首相は各地方のリーダーに少子化から代替出生に転換するように強化を要求しました。そこで、早期結婚・出産について宣伝すると共に、支援・奨励策を検討するとしました。また、結婚前のコンサルティングサービス、合コンの活動、結婚前の健康相談のサービスなどを試験的に実施することが指示されました。
それに加えて、30歳前に結婚する男女や、35歳前に二人目を出産する女性に対して、支援・奨励策として:
・母子健康のため妊娠・出産ケアや、子育ての支援や、出産後の職場復帰の制度や、個人所得税の減税や、世帯による公益負担の削減・免除など
・社会住宅の賃貸・購入の支援や、公立学校への優先入学や、育児費の補助など。逆に、未婚者・晩婚者に対する社会貢献の責任を増やすこと
を実施するように提案しました。
一方で、代替出生を維持する方針に沿わない規制、特に人口対策の違反行為に対して処罰規制の改正も提案しました。
なぜベトナム政府が早期結婚と出産を呼び掛けたのか
ベトナム総統計局の2019年の国勢調査のデータによると、ベトナムの人口は約 9620万人で、東南アジア諸国の中で3番目、世界中で15番目の多さでした。その中で、労働年齢人口(25〜59歳)は88%に達しましたが、65歳以上人口の割合が最も増加しています。さらに、出生率が 一人の女性あたり2.09人で、代替出生率水準より低くなっているとのことです。そして、専門家によると、急速に高齢化が進み、2030年までに労働年齢人口が不足すると予測されているのです。
それを主因として、ベトナム政府は労働年齢人口の増加を促進するため、国民に対する早期結婚と出産を呼び掛けたということです。
2030年に向けたベトナムの労働力状況・計画
ベトナム労働力状況について
ベトナム総統計局の国勢調査のデータ(2019年)によると、15歳以上の労働人口が 55.16万人で、その中で農林水産の業界が 38.6%を占め、産業・建設の業界が 26.7%を占め、サービス業が 34.7%に至っているようです。ベトナムの労働力の特徴として豊かな若い労働力で比較的安価が挙げられます。その点が、他の国と比べて競争力を持つと言えると思います。また、国内の労働力以外でもベトナムは海外に労働者力輸出を行っています。ベトナム外務省の派遣労働者の推移について調査データ(2017年)に基づきベトナム人労働者の主な受け入れ先は日本、韓国、台湾、マレーシアであり、ベトナム人労働者の数が年13万人を超えると見られます。
※日本でベトナム人労働者の状況についてこちらで詳細情報をご覧ください!
日本のベトナム人労働者数は40万人超、国籍別では第2位で、増加率はトップ

2030年に向けたベトナム労働力計画について
2030年に向けたベトナム労働力の戦略によると、労働市場と国内・海外の企業の要求を満たす為、ベトナム政府は3つ業界に関して人材育成を優先的に注目するということです。
・製造業
・電子・通信業
・新エネルギー・再生可能エネルギー業
それに加えて、様々な地方に支援産業クラスターを構成することが決定されました。
さらに、以下にベトナム政府の4つの計画があります。
・教育の方法を見直し、人材育成の質を向上させる
・労働者の能力について評価基準を作成し、上記の3つの業界の人材育成に注力する
・人材育成を計画する
・日本、韓国などと協力を続け、ODAのプロジェクトを実施する
まとめ
今回の決定には様々な意見が出されており、2050年までにベトナムの出生率が 2.3~2.5に至ると予測する意見もあります。現在のベトナムの強みである海外への労働力提供を継続できるように、今回の人口戦略が効果を発揮することが期待されています。