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オフショア開発とは?ベトナム企業に発注するメリット・各国の価格相場の比較も解説
2022/10/16
オフショア開発とは人件費の安いグローバル人材を活用して、ソフトウェア開発をアウトソーシングする開発手法です。
日本のIT人材不足が問題視される中、IT人材の確保だけでなく、開発効率アップやグローバルな観点が取り入れられるということで注目されています。
特に注目するべき国はベトナムです。ベトナムは国策としてIT人材の教育を行っていて、毎年IT関連学科から約5万人のエンジニアが輩出されています。
この記事ではそんなオフショア開発に関して主要なオフショア開発国の比較や、ベトナムオフショア企業に発注するメリットなど徹底解説していきます。
- オフショア開発について知りたい方
- 社内のIT人材が不足している方
- 開発コストを抑えたい方
- 開発効率を上げたい方
これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばオフショア開発がなぜ注目されているのかを知れるのはもちろん、具体的なコストも丸わかりですよ。
オフショア開発とは
オフショア開発とは人件費の安いグローバル人材を活用して、ソフトウェア開発をアウトソーシングする開発手法です。
今までは日本のソフトウェア開発や事務作業がメインでしたが、近年ではAI開発やサイト制作の現場でもオフショア開発が活用されています。
ニアショアとの違い
オフショア開発と似たものにニアショアがあります。ニアショアとは、開発業務を部分的もしくは全部を、比較的近い距離の場所にある企業に外注することをいいます。
主に、ニアショアの対象になるのは国内の地方都市です。
ニアショアは、国内の企業と事業を行うので、言葉の壁といったデメリットがないのもポイントです。
オフショア開発の種類
オフショア開発には以下の2つの種類があります。
- 請負型開発
- ラボ型開発
自分にあったオフショア開発方法を選ぶためにも、1つずつ確認しておきましょう。
請負型開発(受託型開発)
請負型開発(受託型開発)とは、システム開発の明確な目標・目的があり、それを満たすことによって報酬を支払う契約形態になります。
顧客企業は開発プロジェクトの要件定義や仕様の策定、開発スケジュールの調整や進捗管理などを担当し、外部の企業や業者は開発作業を行います。
開発の成果物や納品物に対する品質や納期については、契約に基づいて明確に定められています。
ラボ型開発
ラボ型開発(準委任契約)とは、ある 一定期間(半年〜1年)の間、お客様の専用のチームを用意し開発を行うという契約形態のことです。
長期的にチームでの開発を、エンジニアの採用コストなどを抑えながらすすめることができます。ラボ型開発は、アプリ開発やECサイト制作などのプロジェクトで用いられることがあります。
納品が完了したら開発企業の業務は終了します。そのため契約時には、完成責任や、瑕疵担保責任を事前に確認しておきましょう。
種類 | 請負型(一般的なオフショア開発) | 準委任(ラボ型開発) |
開発費用 | 低い | 高め |
開発期間 | 短めの納期 | 長めの納期 |
開発の柔軟性 | 基本的には途中変更は行われない | 柔軟な対応をすることができる |
コミュニケーションの有無 | 基本的には、PMが開発チームとの直接コミュニケーションを取る場合が多い | ブリッジSEと呼ばれる、エンジニアがPMと開発チームとの橋渡し役となる |
日本での開発との比較
オフショア開発と日本での開発を比較すると、人件費や採用難易度が大きく異なることがわかります。詳しくは以下の表にまとめています。
日本人エンジニア | ベトナム オフショア開発企業 | |
コミュニケーション | 日本語 | 日本語と英語 |
人件費 | 人月単価90万円~ | 人月単価30万~ |
スキル・開発能力 | 不安定 | 安定 |
開発スケジュールの柔軟性 | 柔軟 | 大規模な仕様変更には向かない |
採用の難易度 | 高い | 日本と比較すると低い |
スピード感 | 採用能力による | 採用能力による |
オフショア開発では人件費を3分の1程度に抑えることが可能。日本人エンジニアを採用するよりも採用難易度のハードルも低いのです。
経済産業省によると日本人エンジニアは2030年にはなんと最大で79万人が不足すると言われています。
少子高齢化で若者人口が減っているのにもかかわらず、IT需要は高まっているためです。
日本人エンジニア不足が叫ばれる今、優秀なエンジニアを確保しやすいオフショア開発は今注目と開発手法と言えるでしょう。
オフショア開発のメリット
オフショア開発国に関して比較を行いましたが、そもそもオフショア開発にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここからはオフショア開発のメリットについて整理してきます。
人件費が低い
多くの企業にとって魅力的なのは単純に人件費が安いことです。実際に日本のエンジニアや、コーダーを採用しようと思うと以下の費用がかかります。
- 採用広告費
- 人材紹介業者へのフィー
- エンジニア、コーダーへの人件費
さらに日本ではプロジェクト単位でのエンジニア採用は少ないため、もし採用できても社内文化などに合わない人材の採用というリスクがあります。
一般的な日本人エンジニアの人件費は 人月単価90万円~ である一方で、オフショア開発の場合は人月単価30万~円前後。日本のエンジニアの採用に比べて低いコストでのエンジニア採用を実現できます。
オフショア開発以外にもベトナムでの現地採用のポイントが知りたい方は「ベトナムでの現地採用の現状と課題」で紹介しています。
日本よりも優秀なエンジニアを確保しやすい
日本でもプログラミング学習が進み、多くの人材育成が進んでいます。一方で、実際の現場ではなかなか自走して開発をすすめるほどのスキルを持った人の採用は非常に困難であるというのが現場の実情でもあります。
オフショア開発が進んでいる海外では日本に比べて技術力を持った人材が非常に多いです。
さらに、英語圏や中華圏の国では最新の情報に常に触れることができる環境なので様々な知見を持っています。
特に現地でオフショア開発の委託を受けている企業では様々なプロジェクトを経験した優秀なエンジニアが揃っているため、日本でのエンジニアを採用するよりも開発が進みやすい場合もあります。
日本に比べて開発のコストを下げられるため、プロトタイプなどの開発を行いやすい
オフショア開発では、人件費の削減、工数の削減が見込めるため開発全体のコストを抑えることができるため、プロダクトの試作品やプロトタイプの開発を行いやすいというメリットもあります。
オフショア開発ではプロジェクトごとの契約ができるため失敗した際の撤退コストやサンクコストを下げることができるため、開発費を抑えることができます。
エンジニアの採用でPJが遅延することや、スキルの確認などに時間がかからないためスピード感を維持した開発することが可能です。
プロトタイプが早急に必要な場合や、日本人エンジニアの採用が滞り事業が進まない場合にはオフショア開発は有効な開発手段です。
合わせて読みたい>>プロトタイプ開発とは? プロトタイプ開発の種類や特徴も解説
オフショア開発国比較
オフショア開発は様々な国で行われており、インドや中国、ベトナムなどの国が中心です。
ここからはそれぞれの特徴を表で紹介していきたいと思います。
ベトナム | 中国 | インド | シンガポール | フィリピン | |
コミュニケーション能力 | 日本語英語 | 中国語英語 | 英語 | 英語日本語 | 英語 |
平均月人単価 | 32.26 万円 | 38.13 万円 | 38.65 万円 | 32.6万円 | 33.72 万円 |
スキル・開発能力 | 高い | 高い | 高い | 高い | 不安定 |
今後の動向 | 安定 | 人件費高騰 | 人件費高騰 | 人件費高騰 | 安定 |
採用の難易度 | 低い | 高い | 高い | 低い | 高い |
開発スピード | 普通 | 早い | 早い | 不安定 | 不安定 |
親日性 | 安定 | 不安定 | 安定 | 安定 | 安定 |
こちらの表を見てわかるように、かつてオフショア開発国として有名だったインドや中国は月人単価が比較的高くなっています。これではコストメリットが高いとは言えません。
中国やインドに変わって、近年注目されているオフショア開発国は、ベトナムです。
ベトナムは、技術力ではITの超先進国であるインドや中国に劣る部分はある一方、日系企業が多数進出していることから、英語だけでなく日本語でのコミュニケーションが可能です。
さらにベトナムエンジニアは若い人材が多く、AIやブロックチェーンといった先端ITにも対応できる人材が豊富です。
オフショア開発国に悩んだら、まずはベトナムに拠点を持つオフショア開発企業に相談してみましょう。
オフショア開発企業の選び方
オフショア開発は多数ありますが、オフショア開発企業を選ぶ際には以下の3点に注目しましょう。
- オフショア開発の実績を確認する
- 日本側と現地側の都合に精通した企業に相談する
- 事前にエンジニアのスキルチェックを行う
オフショア開発企業選びを成功させるためにも、1つずつ確認しておきましょう。
オフショア開発企業の実績を必ず確認しておく
オフショア開発企業によってアプリ開発や、サイト制作、AI開発など開発実績が大きく異なります。開発実績が異なるのは、所属しているエンジニアの質が異なるからです。
例えば、画像解析やAI開発などの高度な技術に対応できる企業や、單純なシステム開発のみにしか対応できない企業などが存在します。
委託する際には、どんな実績が過去にあったのかを確認しプロジェクトに必要な開発実績がある企業かを確認しておくことがかかせません。
さらに、オフショア開発にそもそも向いている開発と向いていない開発があります。オフショア開発に向いている開発は以下の通りです。
- 自社の既存ITサービスの開発
- AI開発や画像解析システムなどの複雑な設計が必要な開発
- Saasなどのベンチャーやスタートアップにおける新規のアプリ開発
- コーポレートサイトやECサイト制作などの定番化されている開発
オフショア開発では、数学的な処理やコーディングなど世界共通で行うことができる開発を委託するのがポイントです。
一方で、日本は独自の美的感覚を持っているため、デザインなどの感覚的な作業は苦手といえます。
デザインは日本側である程度おこない、設計や開発の部分をオフショア開発企業で行うとより効果的な開発を行うことができます。
日本側と現地側に都合に精通した企業に相談する
オフショア開発を行う際には日本の商習慣や、海外の商習慣を理解している人材がプロジェクトを推進することが必要です。そのため、日本側と現地のどちらの事情に精通している開発を行う必要があります。
開発方法や目的によって適した人材は異なるため、人材会社ではなくオフショア開発企業のほうが実際に開発を進めた際にスピード感を維持して開発をすすめることができます。
オフショア開発企業を選ぶ際には、自社の開発内容に適したエンジニアをアサインすることができるかどうかを確認しましょう。
事前にエンジニアにスキルチェックを行なっておく
オフショア開発企業を決めて、現地のエンジニアと実際に開発を進めていく前に必ず行なっておくべきなのはスキルチェックです。スキルチェックの際に確認しておきたいのは以下の3点です。
- コミュニケーション能力
- 使用言語の習熟度や過去の開発コード
- 開発内容について説明し、どこまでできるかを作業フローごとに確認する
オフショア開発では自社開発に比べて、スピード感が求められるため教育に時間をかけることができません。短期間の場合には現地企業のエンジニアのスキルチェックは必ず行うようにしましょう。
また、開発の技術以外のベトナムのエンジニアのスキルセットの特徴は以下になります。オフショア開発企業によって異なるので開発スキルだけではなく、スキルセットも調べておきましょう。
主なベトナム人のスキルセット
要件定義 | ✖︎(※日本独自の要件が必要になる場合があるので外部パートナーや日本人を入れて取り組むことがほとんどです。) |
設計 | △(※仕様書によって変わりますが、設計よりも実際に手を動かして行う開発部分が得意なことが多いです。) |
開発 | ◯ |
テスト | ◯ |
ベトナムでのオフショア開発は、日本国内での要件定義や設計が必要です。そこから、オフショア開発向けに仕様書を作成し、開発を進めていきます。開発フェーズでのスピード感を落とさないためにもスキルチェックやスキルセットの確認は行なっておきましょう。
また、オフショア開発を委託する企業を選ぶ際には、ヒアリングを通じて現地のチームに適した仕様書を一緒に作成してくれる企業を選ぶことが重要です。
オフショア開発企業とうまく付き合っていくために
オフショア開発を成功させるためにオフショア開発企業に向け気をつけるべきポイントを紹介していきます。
コミュニケーションを頻繁にとっていく
オフショア開発は基本的には英語が共通語として使われます。英語でも十分にコミュニケーションを取れれば問題ありませんが、デザインの委託をする際になどには細かなニュアンスが必要になります。
そのため英語でも細かいニュアンスを伝えられる人材が日本側企業に必要です。
そのため、デザインなどの感覚が重要になってくる案件にはオフショア開発は向きません。
また、実務以外で開発チームとの信頼関係を構築する上でもコミュニケーションが必要です。オフショア開発ではブリッジSEと呼ばれるPM的な役割を持った人材が両チームの橋渡し的存在がいます。多くの企業はブリッジSEに現地とのコミュニケーションを丸投げしてしまいます。
しかし、ブリッジSEに頼ってしまい現地チームと直接のコミュニケーションが少ないと細かなミスなどから不信感が生まれ開発速度にも影響が出てしまいます。
ブリッジSEに頼りすぎず、チャットツールや翻訳アプリなども取り入れながらコミュニケーションを心がけましょう。
仕様書作りが超重要!
日本の開発とは異なり、オフショア開発では急な開発要件の変更が困難です。なぜなら、オフショア開発ではまず開発の要件定義を行い、それに応じて人材をアサインし費用を見積もるからです。
アジャイル型開発やラボ型開発であれば、要件を徐々に変えながらでも開発は進みますが、一般的な期間限定のオフショア開発の場合には規定の仕様を急に変更すると余計な費用が発生してしまいます。
さらに現地のエンジニアの仕様理解の時間も必要に。
そのため、オフショア開発を始める際には、仕様書をどれほど作り込めるかが重要になります。
開発内容についてヒアリングし急な変更でもある程度対応できる仕様書を、現地向けに合わせて作成してくれる企業を選ぶことがポイントです。
オフショア開発国の文化を否定しない
日本の場合には納期ギリギリの際には、休日出勤やサービス残業などでなんとか間に合わせることも珍しくはありませんが、外国人エンジニアには「休日出勤」などの考え方が通用しないことを理解することが重要です。
外国人のエンジニアは、全く日本のエンジニアと働き方に対する概念も違うため多くの日本企業はここで文化の違いに驚きます。だからこそ、仕様書のスケジュールは日本で開発をすすめる際よりも気をつけて調節することが必要です。
納期ギリギリでは頑張ってくれるという期待を持たずに、スケジュール内で終了するということを念頭に置いて仕様書を作成しましょう。
オフショア開発企業選びの際には、日本企業との開発に慣れている企業に委託することも1つのポイントです。
まとめ
いかがでしたか。本日はオフショア開発に関してどのような特徴があるのか、メリット、費用面など徹底解説をしていきました。
オフショア開発は日本のエンジニアと比べコストを3分の1程度に抑えることが可能です。
特にベトナムは優秀な若いエンジニアも多く、AIやブロックチェーンといった最新の技術も持っています。
ぜひオフショア開発を活用してみてはいかがでしょうか。
DEHAソリューションズでは5年以上に及ぶオフショア開発の開発実績があります。エンジニアの質や具体的な費用面など気になることがございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。