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日本のベトナム人労働者数は40万人超、国籍別では第2位で、増加率はトップ
2020/02/12
はじめに
先日、厚生労働省(日本)は、2019年10月末における外国人雇用届出状況を公表しました。
それによれば、日本でのベトナム人労働者数は40万1,326人で、最も多い中国に次ぐ第2位であり、増加率をみると、前年同期比では+26.8%増と、最大の伸び率を示しています。
これについてみていきましょう。
今回公表の概要
日本におけるベトナム人労働者数は、2012年の2万6,828人から昨年まで、20倍近くまで増加しています。
全国における外国人労働者数の状況をみると、前年同期比+13.6%増の165万8,804人で、外国人労働者を雇用する事業所数は、同+12.1%増の24万2,608か所となっています。
いずれも、2007年に届出が義務化されて以来、過去最高の数値を更新しています。
国籍別に見ると、ベトナム人労働者は、外国人労働者数全体の24.2%に当たる40万1,326人で、中国人の41万8,327人(全体の25.2%)に次いで第二位となりました。
これに続くのは、フィリピン:17万9685人(同10.8%)、ブラジル:13万5455人(同8.2%)、ネパール:9万1770人(同5.5%)などとなっています。
そして、労働者の増加率についてみると、ベトナムが+26.7%増で、インドネシアの+23.4%増、ネパールの+12.5%増を抜いて、トップになりました。
経済成長が続き、また日本で就労することを憧れ、目標とするベトナム人が多数いること、そしてそれを支援する教育機関などもまた充実・拡充している背景もあり、また、日越政府間の緊密な連携なども追い風となり、こうした最近のベトナム人労働者の増大に寄与していると考えられます。
ベトナム人労働者の状況
ベトナム人労働者について、それぞれの在留資格別にみると、次のようになっています。
・技能実習:19万3,912人(全体の48.3%)、
・資格外活動:13万7,410人(同34.2%)(うち留学13万0893人)、
・専門的・技術的分野の在留資格:4万9,159人(同12.2%)
・身分に基づく在留資格(永住者、日本人配偶者など):1万4,646人(同3.6%)
・その他(特定活動など):6,199人
こちらも政府や制度改定の後押し、また企業ニーズの高まりを反映し、技能実習生が全体の約半数と、大きな比重を占めていることがわかります。
更に、一定時間内であれば国内で就労(アルバイトなど)が認められている留学生の増大も注目されるとことでしょう。
就労先を産業別にみると、次のような状況です。
・製造業:14万7,143人(全体の36.7%)
・宿泊業・飲食サービス業:5万8,360人(同14.5%)
・サービス業:5万2,286人(同13.0%)
・建設業:4万6,783人(同11.7%)
・卸売業・小売業:4万3,086人(同10.7%)
・医療・福祉:4,926人(同1.2%)
・情報通信業:4,645人(同1.2%)
・教育・学習支援業:1,627人(同0.4%)
やはり、ベトナム現地でも日系企業の進出を牽引している製造業の比率が最も高く、また、日本で就労する外国人などの対応も含めた宿泊業や、留学生アルバイトによる、コンビニ店員などの飲食サービス業などへの就労が目立ちます。
厚生労働省でも、こうしたベトナム人労働者の増大の要因について、前述したとおり、政府が推進している高度外国人材や留学生の受け入れが進んでいることや、雇用情勢の改善が着実に進んでいることが背景として挙げられると分析しています。
それにより、永住者や日本人の配偶者といった、身分に基づく在留資格の外国人の就労が増えていること、そして技能実習制度の活用により、技能実習生の受け入れが進んでいることなどを挙げています。
こうした見方は、ホーチミン在住経験のある筆者の目からみても、妥当な分析だと思われます。
ベトナム人労働者受け入れに際しての注意点
増加の一途を辿るベトナム人労働者ですが、ただ単に就労すればよいという安易なものではありません。
これまでに様々な問題を指摘されてきた、ベトナム人をはじめとする、外国人労働者を受け入れる際の注意点について、簡単にみていきましょう。
まず、彼らが就労に当たって抱く様々な不安要素を、事前に丁寧に説明することで払拭する必要があります。
「言葉はちゃんと通じて理解できるだろうか」「文化の違いは克服できるだろうか」などといった不安に対応し、納得を得るための配慮が大切です。
また、スムースに就労し、技能を修得するため、業務上のマニュアルや研修制度を充実させることも必要です。
日本語が第一外国語になっているほど日本語教育に熱心なベトナムですが、日本語の習得度合いには個人差があるため、日本語についていけない人も出てきます。
日本語習得に関するマニュアルや、研修制度を整備しておくことも大切です。
また、業務上の内容だけでなく、日本で生活する上でのノウハウや考え方などについて、細部までガイドラインを設定しておくと、ベトナム人が日本で働きはじめたときのギャップと不安を軽減することができます。
住居探しや役所の手続きへの同行、近隣の地理や周辺環境の案内など、受け入れのためにしっかり体制を整え、細かな部分までサポートできるようにしたいものです。
まとめ
みてきたように、ベトナム人労働者の国内での数は年々、著しい増加傾向にあり、今後もしばらくは継続するものと考えられます。
親日国であり、日本文化への憧れも強く、希望に溢れて来日し、就労する彼らベトナム人ですが、その一方、これまで、仕事上や生活上の様々なトラブルや問題点も指摘されてきました。
今後ますます国際化が進展する労働市場環境にあって、彼ら外国人就労者が、周囲の丁寧な対応と、支援体制の強化により、楽しく穏やかに就労・生活できるよう、協力していきたいものです。
著者プロフィール
ペンネーム:トビウオ
マレーシア(KL)在住 海外経験はこの他にヤンゴン(2回)、ホーチミン、海外40都市への出張経験があります。
早稲田大学政治経済学部卒業 大手通信会社~大手調査会社のヘッド~ITベンダー等を経験しています。