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個人利用63%、業務プロセス組込12%|AI活用の断層をどう埋めるか

公開:2026.10.16
更新:2026.10.16
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目次
個人利用63%、業務プロセス組込12% AI活用の断層をどう埋めるか

生成AIをはじめとするAI技術の導入が広がる一方で、企業のAI活用はどこまで業務や事業の変革につながっているのでしょうか。

AIを使って文章を作成する、情報を検索する、資料を要約するといった個人単位の利用は、企業におけるAI活用の入り口として定着しつつあります。

しかし、個人が便利に使えるようになったことと、組織全体の業務プロセスが変わることは同じではありません。

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表した「DX動向2026」では、DXの取組状況や成果、AI・データの利活用、人材の状況などが調査されています。

報告書は、AIの導入が進む一方で、活用が業務効率化や迅速化に集中しており、企業価値の創出や企業変革への展開は限定的であると示しています。

業者がAIを活用していく上でのポイントや、現状について解説していきます。

・AIについて知りたい方

・企業にAIを活用していきたいとお考えの方

これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばAI活用のポイントや企業への組み込み方についてわかります。

個人利用63.3%、業務プロセスへの組み込み11.9%という現状

「DX動向2026」の図表3-6では、生成AIの組織での利用状況が示されています。ここで重要なのは、生成AIを使っているかどうかだけではなく、どの単位で活用されているかという視点です。

個人利用が63.3%であるのに対して、部署の業務プロセスに組み込まれている割合は11.9%です。この差は、生成AIの利用が個人の作業支援にとどまるケースと、組織の業務の仕組みとして運用されるケースが異なることを示しています。

例えば、従業員が生成AIを使って会議資料を作成したり、メールの文章を整えたりすることは、個人の業務効率化に当たります。これに対して、社内の業務システムや手順にAIを組み込み、特定の業務を継続的に支援する形では、利用者個人の工夫だけでなく、業務設計や運用の整備も関係します。

ただし、個人利用が多いこと自体が問題なのではありません。個人がAIを使い始めることは、組織的な活用に向けた一つの段階になり得ます。課題は、個々の利用で得られた知見を、部署や全社の業務改善にどのようにつなげていくかという点にあります。

なぜAI活用が個人レベルにとどまりやすいのか

AIの業務利用が個人単位で進み、業務プロセスへの組み込みが限定的になる背景を考えるうえで、IPAの調査に示されたAI活用の用途と課題が参考になります。

文書作成や情報収集が中心となるAI活用

「DX動向2026」では、AIの利活用用途として、文書・音声の要約・翻訳・校正が82.5%、文書・レポートの作成が80.5%、情報検索・収集・分析・レポーティングが77.0%となっています。これらは、日常的な業務の中で個人が利用しやすい用途です。

こうした用途は、導入の初期段階でも活用しやすいという特徴があります。担当者が自身の仕事にAIを取り入れ、文章作成や情報整理にかかる時間を短縮することで、一定の効果を実感できる可能性があります。

一方で、報告書では、生産・物流・サービス提供の計画支援が6.0%、自社製品・サービスの高度化が10.9%とされています。

個人の作業を支援する用途に比べ、事業活動やサービスそのものの高度化に関する用途は、相対的に低い水準です。

この結果から、AIの導入を進める際には、単に利用できる機能を増やすだけではなく、どの業務や事業上の課題にAIを活用するのかを考えることが重要だと読み取れます。

部署単位での活用には、業務の共通化が関係する

個人がAIを利用する場合、担当者自身の判断で使い方を決められる場面があります。しかし、部署全体の業務プロセスに組み込む場合は、複数の担当者が同じ手順で利用できることや、業務の流れの中で適切に機能することなどが重要になります。

組織的な活用を進めるには、対象となる業務を明確にし、AIをどの工程で使うのか、どのような情報を扱うのか、出力された内容を誰が確認するのかなどを整理する必要があります。

これは、AIを導入することと、AIを業務の仕組みとして定着させることの違いです。個人の利用を制限するのではなく、個人が得た活用経験を業務改善の検討材料として共有できる環境を整えることが求められます。

AI活用の断層を埋めるために必要な視点

個人の成功事例を組織の知見に変える

最初の視点は、個人がAIを使って得た経験を、部署や組織の学びにつなげることです。

個人利用によって、どの業務でAIが役立つのか、どのような指示が有効なのか、どのような確認が必要なのかといった知見が蓄積される場合があります。

しかし、個人の経験が担当者の中だけにとどまると、同じような業務を行う他の従業員がその知見を活用できない可能性があります。

そこで、AIの利用事例を共有する仕組みを整えます。共有する内容としては、利用した業務、AIを使った工程、得られた効果、確認が必要だった点などが考えられます。

こうした情報を基に、部署として共通して活用できる業務を検討することで、個人利用から組織的な利用へと進むための土台を作れます。

AIを導入する業務の目的を明確にする

二つ目の視点は、AIの導入目的を具体的な業務課題と結び付けることです。

「AIを導入する」という目標だけでは、導入後に何を改善できれば成功なのかが明確にならない場合があります。

例えば、問い合わせ対応にAIを利用するのであれば、対応に必要な情報の整理、担当者への引き継ぎ、回答作成の支援など、どの工程を対象とするのかを検討します。

そのうえで、作業時間や対応品質など、対象業務に応じた成果を確認する方法を考えます。

すべての業務に同じ指標を適用するのではなく、導入する目的と業務内容に応じて成果を把握することが重要です。

業務プロセスへの組み込みを進める際の課題

AI人材とリテラシーの不足

AI利活用に向けた課題として、専門人材やAIの効果・リスクに関する理解が挙げられています。

報告書では、AIの導入・運用上の課題として「専門人材が不足している」が50.1%、「生成AIの効果やリスクに関する理解が不足している」が45.8%となっています。

AIを業務プロセスに組み込む際には、単にツールの使い方を知っているだけでなく、業務における利用目的やリスクを理解することも関係します。

このため、AIの活用を推進する人材には、AIに関する知識だけでなく、対象となる業務の理解も求められます。IT部門だけでなく、業務部門と連携しながら活用方法を検討することが、業務プロセスへの組み込みを考えるうえで重要になります。

データ整備とガバナンスの重要性

AIを組織的に活用する場合、利用するデータの整備状況や、AIの利用に関するルールも検討対象になります。

「DX動向2026」では、AI利活用に向けた学習データの整備状況について、「整備しておりAIに活用している」が7.0%、「整備しているが十分ではない」が28.4%、「必要性は認識しているができていない」が27.6%とされています。

データをAIの活用に適した形で整備することは、業務プロセスへのAI導入を検討する際の一つの課題です。

業務で扱う情報が整理されていなければ、AIを組み込む対象や方法を検討することが難しくなる場合があります。

AI活用の断層を埋めるための実践的な進め方

ここまでの調査結果を踏まえると、個人利用から業務プロセスへの組み込み、さらに全社的な活用へと進める際には、段階的に検討することが考えられます。

ステップ1:個人利用の実態を把握する

まず、社内でどのようなAI活用が行われているのかを把握します。

利用している部署や業務、活用目的、効果を感じている点、困っている点などを整理することで、組織内に存在する活用事例を確認できます。

個人利用を一律に同じ方法へ統一することから始めるのではなく、現在の利用状況を把握し、業務改善につながる可能性のある領域を検討することが出発点になります。

ステップ2:業務プロセス単位で対象を選ぶ

次に、AIを組み込む対象業務を検討します。

個人が便利に利用している業務の中から、部署内で共通する作業や、一定の手順で実施される作業などを整理します。

そのうえで、AIをどの工程で利用するのか、どのような確認が必要なのかを検討します。AIの導入を目的とするのではなく、業務上の課題と利用目的を結び付けることが重要です。

ステップ3:関係部門と運用方法を検討する

業務プロセスにAIを組み込む場合は、利用する部署だけでなく、必要に応じてIT部門や経営層などと連携しながら運用方法を検討します。

利用するデータ、業務手順、確認方法、リスク管理などを整理し、実際の業務に適した形で利用できるかを確認します。

ステップ4:成果を確認し、改善につなげる

導入後は、設定した目的に沿って成果を確認します。

効率化や迅速化などの効果を確認するとともに、AIの活用が対象業務や組織の目的にどのように関係しているのかを検討します。

必要に応じて運用方法や対象業務を見直し、個人や部署で得られた知見を次の改善に活用することが考えられます。

まとめ

いかがでしたか。本日は「DX動向2026」をもとにAI活用についての実態についてみていきました。

AI活用の断層を埋めるためには、個人の利用経験を組織の知見として共有し、業務プロセス単位で活用方法を検討することが重要です。

さらに、業務部門とIT部門などが連携し、目的に応じた成果指標や運用方法を整備することも検討課題となります。

AIを使えるようにするだけでなく、AIを活用してどの業務を改善し、どのような成果につなげたいのかを明確にすること。

それが、個人利用から組織的なAI活用へと進むための重要な視点です。

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移行方式の比較表・稟議用チェックリスト・ヒアリングシートを収録。A4・28ページ

記事執筆者・監修者

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