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【2026年】『オフショア開発白書』から見る市場動向
2026/02/03

国内IT人材不足、円安の長期化、開発スピードへの要求高度化──。
こうした環境変化の中で、オフショア開発は一時的な選択肢ではなく、日本企業の開発戦略における「前提条件」となりつつあります。
本記事では、2025年に実施された各種調査データを基にした『オフショア開発白書』の内容を整理しながら、2026年に向けたオフショア開発市場の動向を読み解いていきます。
- オフショア開発に興味がある方
- 開発効率を上げたい方
- 社内のIT人材が不足している方
これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばオフショア開発の最新の動向が丸わかりですよ。キーワードは「拡大」「成熟」「戦略化」です。
オフショア開発の主役は中小企業へ回帰
円安を越えて再び動き出した中小企業
2025年の調査で最も顕著だった変化は、オフショア開発を検討・活用する企業層の広がりです。特に従業員数50名以下の中小企業が全体の48%を占め、前年の26%から大幅な増加を見せました。
これまでオフショア開発は、一定の規模を持つ企業の選択肢と捉えられがちでしたが、その認識が大きく変わりつつあります。
2024年は急激な円安の進行により、コスト上昇や為替リスクを懸念し、中小企業がオフショア開発に慎重になる傾向が見られました。
しかし2025年に入り、円安環境への一定の適応が進んだことに加え、国内におけるIT人材不足が一層深刻化したことで、再びオフショア開発を前向きに検討する企業が増加しています。
現在、オフショア開発は単なる「コスト削減のための手段」ではなく、限られた人材・リソースの中で事業を継続し、スピード感を維持するための現実的な選択肢として再評価されています。
中小企業にとっても、成長と競争力を支える重要な戦略の一つとなり始めていると言えるでしょう。
大企業は「構築完了フェーズ」へ
一方で、従業員数5,001名以上の大企業が占める割合は、前年の22%から2025年には2%へと大きく減少しました。
この数字だけを見ると、オフショア開発からの撤退を想起させますが、実態はそれとは異なります。
多くの大企業ではすでにオフショア開発体制の構築が完了しており、新規に検討する段階を終えた結果、調査対象として表面化しにくくなっていると考えられます。
つまり2025年は、大企業が「導入・検討フェーズ」から「運用・定着フェーズ」へと移行した年だと言えるでしょう。
その一方で、オフショア開発の検討層は中小企業へと広がり、市場全体として再び裾野が拡大しています。
こうした環境変化により、2025年は中小企業にとってもオフショア開発を導入しやすい状況が整った年として位置づけられます。
業界別に見るオフショア開発の広がり
IT・ソフトウェア業界が引き続き中心
業界別に見ると、IT・ソフトウェア業界が61%と引き続き最多を占めており、オフショア開発の中心的な存在であることに変わりはありません。
クラウドインフラの設計・運用、AIやデータ分析領域、Webサービスや業務システムの高度化など、求められる技術領域は年々拡大しています。
こうした分野では、国内リソースのみで開発スピードや品質を維持することが難しくなっており、オフショア開発は単なる補完手段ではなく、事業成長を支える戦略的な選択肢として定着しています。
特に開発体制の柔軟性やスケーラビリティを重視する企業ほど、継続的にオフショアを活用する傾向が見られます。
メーカー業界の存在感が拡大
次に注目すべきはメーカー業界です。全体に占める割合は25%まで拡大しており、IoTやスマートファクトリー、デジタルツインなどの開発ニーズの高まりが背景にあります。
従来は組み込み系ソフトウェアや解析業務が中心でしたが、近年ではクラウド連携やデータ活用、ユーザー向けアプリケーション開発など、ソフトウェア領域の比重が急速に高まっています。
その結果、グローバル市場を見据えた開発体制構築の一環として、オフショア開発を戦略的に組み込む企業が増加しています。
業界多様化の進行
2025年は、商社、印刷・ソフトウェア開発、インフラ関連業界など、これまで主流ではなかった業界からの相談が増加した点も特徴的です。
業務効率化やDX推進、人材不足への対応といった共通課題を背景に、オフショア開発が選択肢として検討されるケースが広がっています。
もはやオフショア開発は特定業界の専有物ではなく、業種横断的な課題解決手段として、幅広い分野へ浸透し始めていると言えるでしょう。
オフショア開発先国の変化と分散化
ベトナム人気は継続、しかし環境は変化
2025年も、オフショア開発先として最も多く選ばれた国はベトナムであり、全体の43%を占めました。
親日的な国民性や高い勤勉性、日本との地理的な近さといった強みは現在も変わらず、日本企業にとって安心感のある開発拠点であり続けています。
一方で、ベトナム国内における人件費の上昇や円安の影響により、かつてのような圧倒的なコストメリットは得にくくなってきました。
その結果、単に「安いから選ぶ」という理由だけでは継続的な活用が難しくなり、日本企業が選ばれる存在であり続けるためには、技術力や品質管理、提案力といった付加価値がより強く求められる段階に入っています。
「その他の国」への発注が増加
2025年は、フィリピン、バングラデシュ、ネパール、スリランカなど、いわゆる新興国への発注が増加した点も特徴的です。
これらの国々は、英語対応力の高さや特定分野における専門性、コスト構造の柔軟さといった強みを持っています。
加えて、特定国への依存を避けるリスク分散志向も背景にあり、発注先の選定基準は単純な単価比較から、複合的な戦略判断へと確実にシフトしています。
予算動向に見る「成熟期」の兆し
発注見送りの増加と大型案件の消失
2025年の調査では、「発注しなかった」割合が36%と大きく増加しました。
また、前年に多かった1億円以上の大型案件は姿を消しています。
これはオフショア開発の衰退ではなく、慎重かつ現実的な予算判断への移行と捉えるべきでしょう。
中規模案件とスモールスタートの定着
主流となっているのは、500万円〜5000万円規模の中規模案件です。
ラボ型やSES型契約を活用し、継続的にリソースを確保する動きが加速しています。
さらに、1名・1ヶ月から始められるスモールスタート型の導入も再評価されており、PoCや初導入フェーズでの活用が進んでいます。
外国人エンジニア活用が加速
社内外国人エンジニアは78%へ
2025年には、「社内に外国人エンジニアが在籍している」と回答した企業が78%に達しました。
この数字は、外国人エンジニアの活用が一時的な人材不足対策ではなく、開発体制のグローバル化を前提とした戦略的な取り組みとして定着しつつあることを示しています。
その役割も年々多様化しており、オフショア拠点との橋渡しを担うブリッジSEとしての活用に加え、将来的な海外拠点設立を見据えた体制構築の中核人材として位置づける企業も増えています。
さらに、品質管理や進捗管理、技術標準の共有といった重要な領域を担うケースも多く、外国人エンジニアは開発組織全体の競争力を支える存在へと進化しています。
強みと弱みに見るオフショア開発のリアル
強み:コミュニケーション能力と営業力
調査において最も高く評価された強みは、コミュニケーション能力でした。
日本語対応の可否や日本文化への理解度、日常的な意思疎通のスムーズさは、純粋な技術力以上に重視される傾向が明確になっています。
特に要件定義や仕様調整といった初期工程においては、認識のズレを最小限に抑えられるかどうかが、プロジェクト全体の品質を左右します。
また2025年は、営業力も強みとして挙げる企業が増加しました。
レスポンスの速さや課題を踏まえた提案力など、顧客視点に立った対応が評価されるケースが一部で見られ、従来弱点とされてきた分野においても改善の兆しが現れています。
弱み:営業力と品質管理のギャップ
一方で、営業力は依然として最大の弱みとしても指摘されています。初期対応の遅さや提案内容の浅さによって、具体的な検討に至る前に話が止まってしまうケースも少なくありません。
特に最初の接点における対応品質は、オフショア開発を選択するか否かを左右する重要な分岐点となっています。
また、コミュニケーション能力や品質管理が「強み」と「弱み」の両方に挙げられる構造は、2025年も継続しました。
この認識ギャップをいかに埋め、実行レベルまで落とし込めるかが、オフショア開発成功の分かれ道と言えるでしょう。
まとめ
いかがでしたか。本日は「オフショア開発白書」をもとに2026年のオフショア開発の動向について確認していきました。
2025年の調査から見えてきたのは、オフショア開発が成熟期に入り、戦略的パートナーシップへ進化している姿です。
今後は、
- スモールスタートから段階的に拡張する導入設計
- 国・契約形態・人材配置を含めた総合的判断
- 単価ではなく関係性を重視したパートナー選定
がますます重要になります。
オフショア開発は、もはや「やるか・やらないか」の議論ではありません。どう設計し、どう活用するかが問われる時代に入っています。



